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001.星の砂
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「……そうだな…
勝手なこと言ってすまなかったな。」
「なんでそんなに謝るんだよ…
あたしだって、言い過ぎたのに…」
「そんなことないさ。
俺が、つまらないこと言ったのが悪かったんだ。」
「…………」
「さぁて、そろそろ寝ようかな。
今夜は泊まっていくだろ?」
「……宿屋に泊まるよ。」
「町まではけっこうかかるぜ。
無駄な金使う事ないじゃないか。
泊まっていけよ。
おかしなことはしないからさ。」
「ば、馬鹿!そんなこと、心配してないよ!」
「じゃあ、どこでも好きな部屋を使ってくれ。
掃除はしてないから、多少埃っぽいかもしれないけど、我慢してくれよな。」
「ちょっと…もう寝るのかい?」
「あぁ…」
「まだ、寝るには早いよ。
そうだ、酒でも飲もうよ!」
「そうだな…じゃ、少し飲むか。
ちょっと待ってくれよ…確か、このあたりに…
……あ!あった、あった!」
ジャンは、部屋の片隅に積まれた箱の中から、ワインとブランデーを探し出した。
「本当に、あんたの家にはないものはないんだね。」
「食べ物以外はな…」
そう言って、ジャンはにっこりと微笑んだ。
*
「うぅ…ん…」
サリーが目を覚ましたのはベッドの上だった。
(……あれ?ここは…?
そうだ…!ジャンの家だ!
昨夜は久しぶりに羽目をはずして思いっきり飲んで…
あぁ~…だめだ…それから先は何も覚えてない…)
サリーは微かに痛む頭を気遣いながらゆっくりと起きあがり、リビングの方に行くと、どこかから良いにおいが漂って来ることに気がついた。
良いにおいは台所からだ。
「あ…起きたのか?
ちょうど良かった。今、呼びに行こうと思ってた所だったんだ。」
そこへ作りたての朝食をワゴンに載せたジャンが入って来た。
「あれ…ジャン、昨夜食べるものはないって…
もしかして、もう町まで行って来たのかい?」
「あぁ、今朝も豆の缶詰じゃかなわないからな。
さ、冷めないうちに食べようぜ。」
「う、うん、ありがとう。」
特別なものではなかったが、朝早くから町に買い物に行ってジャンが作ってくれたものだ。
そう思うと、サリーはなんとなく温かい気持ちになれた。
勝手なこと言ってすまなかったな。」
「なんでそんなに謝るんだよ…
あたしだって、言い過ぎたのに…」
「そんなことないさ。
俺が、つまらないこと言ったのが悪かったんだ。」
「…………」
「さぁて、そろそろ寝ようかな。
今夜は泊まっていくだろ?」
「……宿屋に泊まるよ。」
「町まではけっこうかかるぜ。
無駄な金使う事ないじゃないか。
泊まっていけよ。
おかしなことはしないからさ。」
「ば、馬鹿!そんなこと、心配してないよ!」
「じゃあ、どこでも好きな部屋を使ってくれ。
掃除はしてないから、多少埃っぽいかもしれないけど、我慢してくれよな。」
「ちょっと…もう寝るのかい?」
「あぁ…」
「まだ、寝るには早いよ。
そうだ、酒でも飲もうよ!」
「そうだな…じゃ、少し飲むか。
ちょっと待ってくれよ…確か、このあたりに…
……あ!あった、あった!」
ジャンは、部屋の片隅に積まれた箱の中から、ワインとブランデーを探し出した。
「本当に、あんたの家にはないものはないんだね。」
「食べ物以外はな…」
そう言って、ジャンはにっこりと微笑んだ。
*
「うぅ…ん…」
サリーが目を覚ましたのはベッドの上だった。
(……あれ?ここは…?
そうだ…!ジャンの家だ!
昨夜は久しぶりに羽目をはずして思いっきり飲んで…
あぁ~…だめだ…それから先は何も覚えてない…)
サリーは微かに痛む頭を気遣いながらゆっくりと起きあがり、リビングの方に行くと、どこかから良いにおいが漂って来ることに気がついた。
良いにおいは台所からだ。
「あ…起きたのか?
ちょうど良かった。今、呼びに行こうと思ってた所だったんだ。」
そこへ作りたての朝食をワゴンに載せたジャンが入って来た。
「あれ…ジャン、昨夜食べるものはないって…
もしかして、もう町まで行って来たのかい?」
「あぁ、今朝も豆の缶詰じゃかなわないからな。
さ、冷めないうちに食べようぜ。」
「う、うん、ありがとう。」
特別なものではなかったが、朝早くから町に買い物に行ってジャンが作ってくれたものだ。
そう思うと、サリーはなんとなく温かい気持ちになれた。
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