STORY BOXⅡ

ルカ(聖夜月ルカ)

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001.星の砂

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行く先々で、懐かしい顔に出会い、当時のことが思い出される。
 辛い体験をしたことさえもが、今となれば良い思い出の1つのように感じられた。

 訪ねてみたい気持ちはあったが、一人で行くのはあまりに無謀過ぎる。
 下手をすると命を落としかねないのだから、暗き森には近付くのはやめておいた。

あの宝石店では、ジェムストーンことアベルが、母親と一緒に働いていた。
 二人の幸せそうな笑顔にサリーの心は癒された。
ミカエルは、夢を実現し、自宅は小さなレストランになっていた。
 老人の皺がれた瞳は、若者のように希望に溢れているように見えた。
それらとは逆に辛い報告をしなければならないこともあった。
マリアはジネットの訃報にひどく心を痛めたようだったが、ヴェールと結ばれ子供を遺したという報告がただ1つの救いとなった。

フランツは相変わらず元気だった。
 森の民の住む場所がわかったことを伝えると、すぐに会いに行きたいと言い出し、サリーとフランツはすぐに西の森へ旅立ったが、どうしても森の中へ入ることは出来なかった。
 原因のわからないまま、二人はひき返すしかなかった。

 海辺の町ではあのシャルロに再会した。
シャルロにサリーは、近いうちに嬉しい事があるという予言を授けた。
もう1つの予言はシャルロだけの胸におさめて言葉にすることはなかった。



 *



 (懐かしいな…ここ…)



 年中、薔薇の花が咲き乱れ、甘い香りに包まれたこの場所…



(ここで、ヴェールとジネットはお互いが森の民だってことを知って…
そうそう…あれは、あたしが転んだおかげだったんだよね。
あたしは、さながら二人の愛のキューピッド。)



あの時のことを思い出すと、微笑と同時に涙が流れた。

あのまま、ジネットとヴェールがお互い森の民だということを知らなければ二人はどうなっていたのだろう…?
そして、ジネットはどうなっていたのだろう?



サリーはぶんぶんと首を振る。
 今更、そんなことを考えてみても、もうジネットは戻っては来ない。
 起きてしまったことは、どうあがいても取り返しがつかないということをサリーは知っている…

愛の洞窟で、サリーは祈りを捧げた。
レヴが…そして自分に関わる人達が、皆、いつまでも幸せでありますように…と…
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