STORY BOXⅡ

ルカ(聖夜月ルカ)

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001.星の砂

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本当に行くのか…?
いつまでいてくれても構わないんだぞ。」

 「あたしは、飽きっぽいからね。
ここにいたら何不自由なく暮らせるけど、それがいいかげん退屈になってきたんだ。
またどこかに旅したい気分なんだよ。
 別に遠慮してるわけじゃないからね。」

 「そうか、わかった…では、これだけでも持って行ってくれ。」

 「なんだい?あたしは金なんていらないよ。」

 「まぁ、そう言うな。
いらないと思えば、どこかに捨てれば良い。」

 「…そうかい。
じゃ、いただいとくよ。」

レヴの家族が手を振る中、サリーは屋敷を旅立った。
サリーもそんな皆に手を振りながら、ここでの生活のことを思い出していた。

 長かった魔石との戦いが終わり、旅の仲間はそれぞれが落ちつく場所へ戻って行った。
サリーには、家族と呼べる者はいないが、それに一番近い存在はあのピエールだ。

 魔石のことが解決したらピエールの元へ帰り、穏やかな暮らしをしよう…
そう決めていたはずなのに、レヴの屋敷に住み付いてしまった。

ここにいれば、何不自由ない生活が送れるだけではなく、レヴの両親もサリーにとてもよくしてくれる。
まるで、本当の家族のように接してもらえた。
だが、屋敷に住み着いてしまったのは、それが心地良いからという理由だけではなかった。
ここを離れてしまったら、レヴとの繋がりがなくなってしまう…そんな不安をサリーは感じていたのだ。

ピエールの店はレヴの屋敷からそう離れてはいない。
 遊びに行こうと思えば、すぐに行ける…馬車に乗れば、ほんの数時間で着くような距離なのにそれがすごく遠い場所のようにサリーには感じられたのだ。



レヴの屋敷を出たサリーは、ピエールの店には立ち寄らず、先を急いだ。
サリーの旅の目的は、今までに訪れた町を旅すること。



 (どっぷり思い出に浸ったら、あたしはすべてを忘れて元の生活に戻るんだ。
 元々、あたしとレヴは住む世界が違うんだから…それに、もう、あたしがいなくても大丈夫。
レヴにはリーズがいるんだから。
 思い出と一緒にレヴのことも忘れなきゃね…)



そう思えるようになるのに、サリーには半年の時間が必要だった。
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