夢の硝子玉

星とオリキャラ～地中の星～

３

＊



「やっと着いた！きっとここだわ！！
あ…！あそこ…！」

二人が息を切らし汗を流しながら辿り着いたのは、山の頂上と思われる場所だった。
セリナの言っていた通り、魔物は一切姿を現さなかったが、ラスターが考えていたよりも遥かに遠い道程だった。
疲れているにも関わらず、セリナは何かをみつけると、そこに向かって子供のように駆け出した。



「セ、セリナ、待てよ…」

ラスターは、慌てて後を追う。



「やっぱり、ここだ！！」

セリナが立ち止まったのは、唐突に開けられた穴の前だった。



「セリナ…何なんだ？
ここに、なにか埋まってるのか？」

ラスターは、セリナの手からランプを取ると、穴の中を照らし出した。
落とし穴にしてはちょっと小さい程度の穴の中には、ただゴロゴロとした土砂しかないように見えた。



「セリナ、いいかげん、教えてくれよ。
こんな所にわざわざ来たからには、なにか理由があるんだろ？
この穴は一体何なんだ？」

セリナは微笑み、穴の縁に腰掛けた。



「ねぇ、ラスターも座ったら？」

いまだにセリナの意図はわからなかったが、ラスターは言われるまま、セリナの横に腰を降ろす。



「……私ね…
願い事がしたかったの…」

「願い事…？
……こんな穴の中に？」

ラスターは怪訝な顔をしてセリナに問い返し、再びランプの灯かりを穴の中に向けたが、やはり何一つ変わったものはみつけられなかった。



「ラスター…私ね、昨夜、宿のお婆さんに素敵なお話を聞かせてもらったの。」

「あぁ、そういえば、何か話をしていたな。」

町の小さな宿屋は、老夫妻が二人っきりできりもりをしていた。
それを知ったエリオットとセリナは、食事の後片付けを手伝うと言い出し、セリナはその後も老婆と何か話しこんでいたことをラスターは思い出していた。



「それで、どんな話を教えてもらったんだ？」

セリナは、俯き、微笑みながらゆっくりと話し始めた。