783 / 802
花とオリキャラ~灰色の花畑~
10
しおりを挟む
*
それからも二人は、いろいろな話をして過した。
話すのは主にエリオットの方だった。
特に面白くもなんともない、エリオットにとってはごくありきたりな日常の話をミリアは目を輝かせながら聞き入った。
中でもミリアが一番興味を示したのは、友達のことだった。
「ねぇ、エリオット、そのフレイザーとはどうやって友達になったの?」
「う~ん。気が付いたら友達だったって感じかな?」
「気が付いたら?
友達は、そんな風に簡単になれるものなの?」
「そうだね。
そういうのってけっこう多いと思うよ。」
「いいなぁ、エリオットには友達がいて…
私には友達なんて一人もいなかった…」
「嘘ばっかり!友達だったらミリアにもいるじゃない。」
そう言いながら、エリオットは親指を立てて、自分の胸を指し示した。
ミリアは一瞬驚いて、その後、ほんのりと頬を染めた。
「こんな私と友達になってくれるの?」
「そんな言い方しちゃだめだよ。
僕の大切な友達のことをそんな風に言ったら、僕、怒るよ!」
「エリオット…あなた、本当にいい人ね。」
「そんなこと言われたの、僕、初めてだよ。」
「あなたに会えて本当に良かった…」
「ミリア、大袈裟だよ。」
照れるエリオットの耳に、聞き覚えのある声が届いた。
『エリオットーーー!』
「あ!フレイザーだ!」
「フレイザー?あなたのお友達の?
その人がどうしたの?」
『エリオットー!!』
「ミリアには聞こえないの!?
あの声が…」
ミリアは黙って首を横に振った。
『エリオットーーー!!』
「フレイザー、ここだよ!」
しかし、その声はフレイザーには届いていないらしく、エリオットを呼ぶ声は繰り返されるばかりだった。
「エリオット…行かなくちゃ…」
「え?行くってどこに?」
「ありがとう、エリオット…あなたのおかげで私、救われた。
灰色だったのはお花じゃなくて私の心だったんだって、あなたは気付かせてくれた。」
「何を言ってるの?
僕はどこにも行かないよ。
ミリアとずっとここにいるって約束したじゃない。」
「だめよ。あなたは行かなきゃ…」
「じゃあ、ミリア、君も一緒に…!」
「呼ばれているのはあなただけよ…
さようなら、エリオット…
ありがとう…大好きよ…」
そう言ったミリアの手が、エリオットの身体を強く突いた。
「あっ……!!」
それからも二人は、いろいろな話をして過した。
話すのは主にエリオットの方だった。
特に面白くもなんともない、エリオットにとってはごくありきたりな日常の話をミリアは目を輝かせながら聞き入った。
中でもミリアが一番興味を示したのは、友達のことだった。
「ねぇ、エリオット、そのフレイザーとはどうやって友達になったの?」
「う~ん。気が付いたら友達だったって感じかな?」
「気が付いたら?
友達は、そんな風に簡単になれるものなの?」
「そうだね。
そういうのってけっこう多いと思うよ。」
「いいなぁ、エリオットには友達がいて…
私には友達なんて一人もいなかった…」
「嘘ばっかり!友達だったらミリアにもいるじゃない。」
そう言いながら、エリオットは親指を立てて、自分の胸を指し示した。
ミリアは一瞬驚いて、その後、ほんのりと頬を染めた。
「こんな私と友達になってくれるの?」
「そんな言い方しちゃだめだよ。
僕の大切な友達のことをそんな風に言ったら、僕、怒るよ!」
「エリオット…あなた、本当にいい人ね。」
「そんなこと言われたの、僕、初めてだよ。」
「あなたに会えて本当に良かった…」
「ミリア、大袈裟だよ。」
照れるエリオットの耳に、聞き覚えのある声が届いた。
『エリオットーーー!』
「あ!フレイザーだ!」
「フレイザー?あなたのお友達の?
その人がどうしたの?」
『エリオットー!!』
「ミリアには聞こえないの!?
あの声が…」
ミリアは黙って首を横に振った。
『エリオットーーー!!』
「フレイザー、ここだよ!」
しかし、その声はフレイザーには届いていないらしく、エリオットを呼ぶ声は繰り返されるばかりだった。
「エリオット…行かなくちゃ…」
「え?行くってどこに?」
「ありがとう、エリオット…あなたのおかげで私、救われた。
灰色だったのはお花じゃなくて私の心だったんだって、あなたは気付かせてくれた。」
「何を言ってるの?
僕はどこにも行かないよ。
ミリアとずっとここにいるって約束したじゃない。」
「だめよ。あなたは行かなきゃ…」
「じゃあ、ミリア、君も一緒に…!」
「呼ばれているのはあなただけよ…
さようなら、エリオット…
ありがとう…大好きよ…」
そう言ったミリアの手が、エリオットの身体を強く突いた。
「あっ……!!」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
鬼神転生記~勇者として異世界転移したのに、呆気なく死にました。~
月見酒
ファンタジー
高校に入ってから距離を置いていた幼馴染4人と3年ぶりに下校することになった主人公、朝霧和也たち5人は、突然異世界へと転移してしまった。
目が覚め、目の前に立つ王女が泣きながら頼み込んできた。
「どうか、この世界を救ってください、勇者様!」
突然のことに混乱するなか、正義感の強い和也の幼馴染4人は勇者として魔王を倒すことに。
和也も言い返せないまま、勇者として頑張ることに。
訓練でゴブリン討伐していた勇者たちだったがアクシデントが起き幼馴染をかばった和也は命を落としてしまう。
「俺の人生も……これで終わり……か。せめて……エルフとダークエルフに会ってみたかったな……」
だが気がつけば、和也は転生していた。元いた世界で大人気だったゲームのアバターの姿で!?
================================================
一巻発売中です。
【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
魔族の幼子ルンは、突然両親と引き離されてしまった。掴まった先で暴行され、殺されかけたところを救われる。圧倒的な強さを持つが、見た目の恐ろしい竜王は保護した子の両親を探す。その先にある不幸な現実を受け入れ、幼子は竜王の養子となった。が、子育て経験のない竜王は混乱しまくり。日常が騒動続きで、配下を含めて大騒ぎが始まる。幼子は魔族としか分からなかったが、実は将来の魔王で?!
異種族同士の親子が紡ぐ絆の物語――ハッピーエンド確定。
#日常系、ほのぼの、ハッピーエンド
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/08/13……完結
2024/07/02……エブリスタ、ファンタジー1位
2024/07/02……アルファポリス、女性向けHOT 63位
2024/07/01……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる