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故郷へ
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「結婚式は、うちの別荘がある郊外の町で挙げようと思っているのだが、どうだろう?」
そう言いながら、ダルシャは地図を広げた。
「今いるのがこのあたりだ。
そして、別荘のある町はここだ。」
「どのくらいの距離なの?」
「馬車で行けばすぐだ。
私達が行く時は、いつもここで一泊して行ってる。
この町からは、朝出発すれば夕方には着く。
とても静かで美しい町なんだ。
湖の畔に教会があってな。」
ダルシャは、その光景を思い出したのか、宙をみつめ幸せそうな微笑みを見せた。
「そのくらいの距離なら、ジャネットも大丈夫そうだけど…
そういえばジャネット、やっぱりお医者さんには診てもらわなかったんだね。」
「あぁ…絶対にいやだって……
本当に頑固なんだから。」
*
「ジャネット…ちょっと良いかしら?」
「……あ、はい。」
ベッドに横になっていたジャネットは、外からかけられた声に無理矢理に身体を起こした。
「あ、ジャネット…起きなくても良いのよ。」
部屋に入って来たのはリュシーだった。
リュシーは部屋の中にごろごろとワゴンを押し進める。
「体調はどうなの?」
「たいしたことはありません。」
「……そう。それは良かったわ。
あなた、何も食べてないって話だったから、ちょっと食べるものを持ってきたのよ。」
「私、今、食欲があんまりなくて……」
「大丈夫よ。」
リュシーは黄色い色をした飲み物をジャネットの前に差し出した。
「飲んでごらんなさい。」
ジャネットはあまり気のりしなさそうに…しかし、リュシーに気を遣ってそれを受け取り、ゆっくりと口元に運んだ。
「……おいしい。
なんだか、胸のつかえがすーーっとします。」
そう言って、ジャネットは二口目を飲み始めた。
「そうでしょう?」
「この野菜と果物のサラダもきっと食べられるはずよ。」
差し出されたサラダを、ジャネットは少しずつ口にする。
「本当だ。これなら食べられます。」
「良かった…これは、お義姉が教えて下さったのよ。
……妊娠中には食べやすいし、栄養もあるって……」
「えっ…」
ジャネットは、動きを止め、リュシーの顔をじっとみつめた。
「結婚式は、うちの別荘がある郊外の町で挙げようと思っているのだが、どうだろう?」
そう言いながら、ダルシャは地図を広げた。
「今いるのがこのあたりだ。
そして、別荘のある町はここだ。」
「どのくらいの距離なの?」
「馬車で行けばすぐだ。
私達が行く時は、いつもここで一泊して行ってる。
この町からは、朝出発すれば夕方には着く。
とても静かで美しい町なんだ。
湖の畔に教会があってな。」
ダルシャは、その光景を思い出したのか、宙をみつめ幸せそうな微笑みを見せた。
「そのくらいの距離なら、ジャネットも大丈夫そうだけど…
そういえばジャネット、やっぱりお医者さんには診てもらわなかったんだね。」
「あぁ…絶対にいやだって……
本当に頑固なんだから。」
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「ジャネット…ちょっと良いかしら?」
「……あ、はい。」
ベッドに横になっていたジャネットは、外からかけられた声に無理矢理に身体を起こした。
「あ、ジャネット…起きなくても良いのよ。」
部屋に入って来たのはリュシーだった。
リュシーは部屋の中にごろごろとワゴンを押し進める。
「体調はどうなの?」
「たいしたことはありません。」
「……そう。それは良かったわ。
あなた、何も食べてないって話だったから、ちょっと食べるものを持ってきたのよ。」
「私、今、食欲があんまりなくて……」
「大丈夫よ。」
リュシーは黄色い色をした飲み物をジャネットの前に差し出した。
「飲んでごらんなさい。」
ジャネットはあまり気のりしなさそうに…しかし、リュシーに気を遣ってそれを受け取り、ゆっくりと口元に運んだ。
「……おいしい。
なんだか、胸のつかえがすーーっとします。」
そう言って、ジャネットは二口目を飲み始めた。
「そうでしょう?」
「この野菜と果物のサラダもきっと食べられるはずよ。」
差し出されたサラダを、ジャネットは少しずつ口にする。
「本当だ。これなら食べられます。」
「良かった…これは、お義姉が教えて下さったのよ。
……妊娠中には食べやすいし、栄養もあるって……」
「えっ…」
ジャネットは、動きを止め、リュシーの顔をじっとみつめた。
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