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故郷へ
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「みんな、夕食まで敷地内をご案内しましょうか?
それとも、お茶でも飲む?」
宿屋とは比べ物にならない程広い部屋を各々割り当てられた五人は、落ち着かない様子で廊下に集まっていた。
「リュシーさん…その前に、新しい…って程じゃないけど、仲間のことを紹介するね。
この子はジャネット…実はね、フレイザーの恋…じゃない、奥さんなんだ。」
「まぁ、フレイザー…あなたいつの間にこんな可愛らしい人を……
でも、良かったわ…!
おめでとう、フレイザー、ジャネット!」
リュシーはかわるがわるに二人の身体を抱きしめた。
「ダルシャがね、ここで二人の結婚式を挙げてくれるらしいの。」
「それは良い考えだわ!
なんだか私わくわくしてきちゃったわ。
楽しみねぇ…!!」
リュシーは頬を染め、夢見るような瞳で宙をみつめる。
「あ…そういえば、リュシーさんも再婚したとか……」
「まぁ、なんでそんなこと知ってるの!?」
「えっ!?それじゃあ、やっぱり本当だったんだね!
おめでとう、リュシーさん!」
「ねぇ、お相手はどんな人なの?」
「再婚っていうわけじゃないくて、復縁しただけなのよ。
話せば長いんだけど、あなた達と会ってから私もいろいろなことがあってね…
あ、そうだ!私の主人を紹介するわ。
体調がまだあまり良くないんだけど、皆と会えばきっと元気が出ると思うの。
離れはすぐそばなのよ。」
そう言いながら歩き始めたリュシーの後を、皆、ぞろぞろとついて行く。
「……あれ?ラスターがいない。」
「ラスター……?」
エリオットの言葉に、リュシーが驚いたように振り向いた。
「きっとお屋敷の中を散策してるのよ。
放っておきましょう。」
「……放っといて良いの?」
「ええ、彼は自由な人だから。」
「そ…そう……」
どこか躊躇いながらも、リュシーは離れに向かって歩いて行く。
廊下はどこまでも続き、何度か角を曲がった後に、ようやく外への扉に辿り着いた。
(なんて広いんだろう…
もしかしたら、ラスター…どこかで迷子になってるんじゃない?)
(そうかもしれないわね。)
エリオットとセリナは小声で囁き合いながら、くすくすと笑う。
「みんな、夕食まで敷地内をご案内しましょうか?
それとも、お茶でも飲む?」
宿屋とは比べ物にならない程広い部屋を各々割り当てられた五人は、落ち着かない様子で廊下に集まっていた。
「リュシーさん…その前に、新しい…って程じゃないけど、仲間のことを紹介するね。
この子はジャネット…実はね、フレイザーの恋…じゃない、奥さんなんだ。」
「まぁ、フレイザー…あなたいつの間にこんな可愛らしい人を……
でも、良かったわ…!
おめでとう、フレイザー、ジャネット!」
リュシーはかわるがわるに二人の身体を抱きしめた。
「ダルシャがね、ここで二人の結婚式を挙げてくれるらしいの。」
「それは良い考えだわ!
なんだか私わくわくしてきちゃったわ。
楽しみねぇ…!!」
リュシーは頬を染め、夢見るような瞳で宙をみつめる。
「あ…そういえば、リュシーさんも再婚したとか……」
「まぁ、なんでそんなこと知ってるの!?」
「えっ!?それじゃあ、やっぱり本当だったんだね!
おめでとう、リュシーさん!」
「ねぇ、お相手はどんな人なの?」
「再婚っていうわけじゃないくて、復縁しただけなのよ。
話せば長いんだけど、あなた達と会ってから私もいろいろなことがあってね…
あ、そうだ!私の主人を紹介するわ。
体調がまだあまり良くないんだけど、皆と会えばきっと元気が出ると思うの。
離れはすぐそばなのよ。」
そう言いながら歩き始めたリュシーの後を、皆、ぞろぞろとついて行く。
「……あれ?ラスターがいない。」
「ラスター……?」
エリオットの言葉に、リュシーが驚いたように振り向いた。
「きっとお屋敷の中を散策してるのよ。
放っておきましょう。」
「……放っといて良いの?」
「ええ、彼は自由な人だから。」
「そ…そう……」
どこか躊躇いながらも、リュシーは離れに向かって歩いて行く。
廊下はどこまでも続き、何度か角を曲がった後に、ようやく外への扉に辿り着いた。
(なんて広いんだろう…
もしかしたら、ラスター…どこかで迷子になってるんじゃない?)
(そうかもしれないわね。)
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