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石の巫女の護り人
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「……エリオット、どうかしたの?」
「あ、セリナ……
特にたいしたことじゃないんだ。
大丈夫だよ。」
「そう?それなら良いんだけど、最近、ジャックとフレイザーがなんだかよそよそしい雰囲気に見えたから……」
「……あの二人なら大丈夫だよ、きっと、ね……」
皆の心配をよそに、フレイザーとジャックの様子は、次の日も…また次の日も少しも変わらなかった。
フレイザーは、何かというとラスターの傍に寄り添い、ジャックとは以前のようには話さない。
少しずつ沈んでいくように見えるジャックの表情に、エリオット達は不安を募らせながら、二人の様子を見守った。
そうこうしているうちに、六人はついにイリヤの故郷と思われる村に辿り付いた。
「多分、ここだと思う。
地図には載ってないけど……
もしも、ここじゃないとしたら、もう少し先かもな。」
「ダルシャ、とにかく行ってみようぜ。」
フレイザーの声に、ダルシャはゆっくりと頷いた。
そこは、だだっ広い草原の間に畑が点在するのどかな田舎の裏だった。
見渡す限り、民家もまばらで、当然、住んでる者もそう多くは無いことは容易に推測出来る。
「えらく寂れた村だな。誰もいないぞ。」
ラスターは、あたりをきょろきょろと見渡しながら、呆れた様子で呟いた。
「あ、あそこに誰かいるぞ!」
フレイザーが指差したのは、声も届くかどうかわからない程遠くの畑にいる男性の姿だった。
「聞いてきてくれよ。」
「俺が?」
当然だといった風に頷くラスターに、フレイザーは小さな溜め息を吐き、その場から駆け出した。
「……ラスター?フレイザーはどこに……」
セリナの質問に、ラスターは畑の方を指差す。
「あの人に話を聞きに行ったんだ。
ここで待ってようぜ。」
フレイザーの走る後姿をみつめながら、手持ち無沙汰に、皆、その場でフレイザーの様子を見守った。
「……ジャック。」
ジャックの傍に近寄ったラスターが、小さな声で囁いた。
「なんだ?」
「……もう少しだけ、フレイザーのこと、待ってやれよな。」
「え?」
ラスターは、怪訝な顔をするジャックに曖昧な笑みを返し、ジャックの肩を優しく叩いた。
「あ、セリナ……
特にたいしたことじゃないんだ。
大丈夫だよ。」
「そう?それなら良いんだけど、最近、ジャックとフレイザーがなんだかよそよそしい雰囲気に見えたから……」
「……あの二人なら大丈夫だよ、きっと、ね……」
皆の心配をよそに、フレイザーとジャックの様子は、次の日も…また次の日も少しも変わらなかった。
フレイザーは、何かというとラスターの傍に寄り添い、ジャックとは以前のようには話さない。
少しずつ沈んでいくように見えるジャックの表情に、エリオット達は不安を募らせながら、二人の様子を見守った。
そうこうしているうちに、六人はついにイリヤの故郷と思われる村に辿り付いた。
「多分、ここだと思う。
地図には載ってないけど……
もしも、ここじゃないとしたら、もう少し先かもな。」
「ダルシャ、とにかく行ってみようぜ。」
フレイザーの声に、ダルシャはゆっくりと頷いた。
そこは、だだっ広い草原の間に畑が点在するのどかな田舎の裏だった。
見渡す限り、民家もまばらで、当然、住んでる者もそう多くは無いことは容易に推測出来る。
「えらく寂れた村だな。誰もいないぞ。」
ラスターは、あたりをきょろきょろと見渡しながら、呆れた様子で呟いた。
「あ、あそこに誰かいるぞ!」
フレイザーが指差したのは、声も届くかどうかわからない程遠くの畑にいる男性の姿だった。
「聞いてきてくれよ。」
「俺が?」
当然だといった風に頷くラスターに、フレイザーは小さな溜め息を吐き、その場から駆け出した。
「……ラスター?フレイザーはどこに……」
セリナの質問に、ラスターは畑の方を指差す。
「あの人に話を聞きに行ったんだ。
ここで待ってようぜ。」
フレイザーの走る後姿をみつめながら、手持ち無沙汰に、皆、その場でフレイザーの様子を見守った。
「……ジャック。」
ジャックの傍に近寄ったラスターが、小さな声で囁いた。
「なんだ?」
「……もう少しだけ、フレイザーのこと、待ってやれよな。」
「え?」
ラスターは、怪訝な顔をするジャックに曖昧な笑みを返し、ジャックの肩を優しく叩いた。
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