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ポーリシアの老女
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「ジャック……そんなこと、気にするな。
おまえが味わって来たことを考えれば、言い加減に聞こえるかもしれないけど……他の者はともかく俺にはそんなこと、全然問題ないことだ。
だから、俺には気を遣うことはないんだ。
おまえに獣人の血が流れてようが、本物の獣人だろうが、俺の気持ちは何も変わらない。」
「ば、馬鹿野郎……
俺は、もしかしたら、この先突然獣人みたいに変わるかもしれないんだぞ。
そんなことになったら……」
ジャックは込み上げる涙をフレイザー悟られないよう、俯いたまま悪態を吐く。
「だから構わないって言ってるだろ!
俺、昔から動物も好きだし……あ、これは失言か。
とにかくどんな姿になった所で、おまえはおまえだ。
俺は別におまえの外見に惚れたわけじゃないからな。
それとも、おまえ……もしかしてそんなに自信あったのか?」
「ば…ばか…そんなものあるわけないだろ……」
フレイザーの冗談に、ジャックはまともに答える。
「……ジャック。
心の中の重いものはもうすべて吐き出したか?これからは、なんでも俺に話せよ。
どんなものだって、俺が全部受け止めてやるからな……」
「フレイザー……本当に?
本当に、良いのか?
俺が半分獣人でも、本当に良いのか……?」
「おまえは本当にしつこいなぁ…
そんなこと、俺には何でもないことだ。
もっと早くに話せば良かったのに……馬鹿だな。」
「フ、フレイザー……!」
突然、胸に飛びこんで来たジャックを受け止め、フレイザーはその華奢な身体を抱き締めた。
フレイザーの胸に伝わる熱い物はジャックのずっと凍りついていた心の雪解け水のように、フレイザーには感じられた。
おまえが味わって来たことを考えれば、言い加減に聞こえるかもしれないけど……他の者はともかく俺にはそんなこと、全然問題ないことだ。
だから、俺には気を遣うことはないんだ。
おまえに獣人の血が流れてようが、本物の獣人だろうが、俺の気持ちは何も変わらない。」
「ば、馬鹿野郎……
俺は、もしかしたら、この先突然獣人みたいに変わるかもしれないんだぞ。
そんなことになったら……」
ジャックは込み上げる涙をフレイザー悟られないよう、俯いたまま悪態を吐く。
「だから構わないって言ってるだろ!
俺、昔から動物も好きだし……あ、これは失言か。
とにかくどんな姿になった所で、おまえはおまえだ。
俺は別におまえの外見に惚れたわけじゃないからな。
それとも、おまえ……もしかしてそんなに自信あったのか?」
「ば…ばか…そんなものあるわけないだろ……」
フレイザーの冗談に、ジャックはまともに答える。
「……ジャック。
心の中の重いものはもうすべて吐き出したか?これからは、なんでも俺に話せよ。
どんなものだって、俺が全部受け止めてやるからな……」
「フレイザー……本当に?
本当に、良いのか?
俺が半分獣人でも、本当に良いのか……?」
「おまえは本当にしつこいなぁ…
そんなこと、俺には何でもないことだ。
もっと早くに話せば良かったのに……馬鹿だな。」
「フ、フレイザー……!」
突然、胸に飛びこんで来たジャックを受け止め、フレイザーはその華奢な身体を抱き締めた。
フレイザーの胸に伝わる熱い物はジャックのずっと凍りついていた心の雪解け水のように、フレイザーには感じられた。
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