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ポーリシアの老女
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「あんたには本当に良い友達がたくさんいるんだね。」
「うん……他の友達も良い人ばかりなんだよ。」
「そうかい……そりゃあ良かった。」
三人が宿に戻り、エリオットとサンドラは、お茶を飲みながらゆっくりと話をしていた。
「そうだ…エリオット……これを……」
サンドラはポケットから願い石を取り出し、エリオットの前に差し出した。
「こ、これ……」
差し出された願い石を見たエリオットは、それが以前見た赤色のものではなく、濃い橙色だということに驚き戸惑った。
(これは赤じゃないぞ!
今までに見たことのない色だ。
そうか…!偽物だから、本当にはない色なんだな。)
エリオットは、反射的に差し出された願い石を受け取り、じっくりとその感触を確かめた。
(質感は本物にすごく近いや。
このひんやりとした感じも重さも、本物にそっくりだ。
これじゃあ、おばあさんが本物と思うのも当然だな。)
「おばあさん、これ……」
エリオットは願い石を手に、困惑した眼差しでサンドラをみつめた。
「……それはあんたにあげる。
あんたはそれを持っていつでもここを出て行って良いんだよ。」
「おばあさん!ボクはまだしばらくここにいるって言ったでしょう?
明日は、またフレイザー達が来てくれてあちこちの修理や片付けを手伝ってもらうんだし、イリヤもおばあさんにお菓子作りを習うつもりでいるんだからね。」
少し怒ったような口調のエリオットに、サンドラは微笑みながら頷いた。
「……ありがとうよ。
あんたのおかげで家はずいぶんと暮らしやすくなったし、私はこんなにも楽しい時を過ごす事が出来た。
それはそのお礼だよ。
私には他にあんたにあげられるものはないからね…
あ、何もすぐに出ていけって言ってるわけじゃないなんだ。
ただ、受けとってほしいだけなんだ。」
「おばあさん……」
そんなことを言われると、エリオットは素直に受け取るしかなかった。
「あんたには本当に良い友達がたくさんいるんだね。」
「うん……他の友達も良い人ばかりなんだよ。」
「そうかい……そりゃあ良かった。」
三人が宿に戻り、エリオットとサンドラは、お茶を飲みながらゆっくりと話をしていた。
「そうだ…エリオット……これを……」
サンドラはポケットから願い石を取り出し、エリオットの前に差し出した。
「こ、これ……」
差し出された願い石を見たエリオットは、それが以前見た赤色のものではなく、濃い橙色だということに驚き戸惑った。
(これは赤じゃないぞ!
今までに見たことのない色だ。
そうか…!偽物だから、本当にはない色なんだな。)
エリオットは、反射的に差し出された願い石を受け取り、じっくりとその感触を確かめた。
(質感は本物にすごく近いや。
このひんやりとした感じも重さも、本物にそっくりだ。
これじゃあ、おばあさんが本物と思うのも当然だな。)
「おばあさん、これ……」
エリオットは願い石を手に、困惑した眼差しでサンドラをみつめた。
「……それはあんたにあげる。
あんたはそれを持っていつでもここを出て行って良いんだよ。」
「おばあさん!ボクはまだしばらくここにいるって言ったでしょう?
明日は、またフレイザー達が来てくれてあちこちの修理や片付けを手伝ってもらうんだし、イリヤもおばあさんにお菓子作りを習うつもりでいるんだからね。」
少し怒ったような口調のエリオットに、サンドラは微笑みながら頷いた。
「……ありがとうよ。
あんたのおかげで家はずいぶんと暮らしやすくなったし、私はこんなにも楽しい時を過ごす事が出来た。
それはそのお礼だよ。
私には他にあんたにあげられるものはないからね…
あ、何もすぐに出ていけって言ってるわけじゃないなんだ。
ただ、受けとってほしいだけなんだ。」
「おばあさん……」
そんなことを言われると、エリオットは素直に受け取るしかなかった。
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