505 / 802
ポーリシアの老女
90
しおりを挟む
*
「イリヤ、とっても美味しいよ!」
「それに見た目もすっごく綺麗だ!
あんた、これだけの腕があるんなら、絶対にどこかで雇ってもらえると思うぜ!」
「また、そんな……
フレイザーは大袈裟なんだから!」
イリヤは照れ臭そうにはにかみながら俯いた。
「いや、本当に自信を持って良いと思う。
たいしたもんだ。」
「ジャック……本当かい?」
イリヤは、少し驚いたような表情でジャックに問い返した。
「本当だよ。
こんなにうまい料理は久し振りに……あ、エリオットのも美味しかったよ。
ただ、今日のは手慣れてるっていうのか……」
サンドラは話しかけてからエリオットに気を遣い、気まずそうに口篭もる。
「おばあさん、気にしないで。
ボクは炒めるか煮ることしか出来ないし、ナイフの使い方だってうまくないもん。
ほら、見て、この野菜。
こんな手の込んだ切り方、僕にはとても出来ないよ。」
そう言いながら、エリオットは綺麗に飾り切りされたサラダの野菜をフォークで指した。
「あんたは繊細な性格だね。
この分じゃ、きっと、お菓子作りもうまいんだろうね。」
「それが、僕は小さい頃に母さんが亡くなってるから、お菓子自体、あまり食べたことがなくて……
父さんは甘い物が好きじゃなかったから、お菓子を作ってもらったことは全然ないんだ。
だから、もちろん作り方もまるで知らない。」
「……なるほど、そうだったのかい。
お菓子は分量を間違えただけでもうまくいかないことが多いんだ。
だから、大雑把な者には向かないんだけど、あんたならすぐにうまく出来るようになると思うよ。」
「おばあさん……そういえば、昔、エレのケーキをよく焼いたって言ってたよね?
作り方をイリヤに教えてあげたらどう?」
「エレのケーキだって?そいつはすごくうまそうだ!
おばあさん、ぜひ僕にそのケーキの作り方を教えてよ!」
イリヤは身を乗り出し、サンドラに熱い声をかけた。
「あぁ、いいとも。」
「やったーー!」
五人で囲んだ食卓は、食事が済むまで、始終会話と明るい笑い声に包まれた。
「イリヤ、とっても美味しいよ!」
「それに見た目もすっごく綺麗だ!
あんた、これだけの腕があるんなら、絶対にどこかで雇ってもらえると思うぜ!」
「また、そんな……
フレイザーは大袈裟なんだから!」
イリヤは照れ臭そうにはにかみながら俯いた。
「いや、本当に自信を持って良いと思う。
たいしたもんだ。」
「ジャック……本当かい?」
イリヤは、少し驚いたような表情でジャックに問い返した。
「本当だよ。
こんなにうまい料理は久し振りに……あ、エリオットのも美味しかったよ。
ただ、今日のは手慣れてるっていうのか……」
サンドラは話しかけてからエリオットに気を遣い、気まずそうに口篭もる。
「おばあさん、気にしないで。
ボクは炒めるか煮ることしか出来ないし、ナイフの使い方だってうまくないもん。
ほら、見て、この野菜。
こんな手の込んだ切り方、僕にはとても出来ないよ。」
そう言いながら、エリオットは綺麗に飾り切りされたサラダの野菜をフォークで指した。
「あんたは繊細な性格だね。
この分じゃ、きっと、お菓子作りもうまいんだろうね。」
「それが、僕は小さい頃に母さんが亡くなってるから、お菓子自体、あまり食べたことがなくて……
父さんは甘い物が好きじゃなかったから、お菓子を作ってもらったことは全然ないんだ。
だから、もちろん作り方もまるで知らない。」
「……なるほど、そうだったのかい。
お菓子は分量を間違えただけでもうまくいかないことが多いんだ。
だから、大雑把な者には向かないんだけど、あんたならすぐにうまく出来るようになると思うよ。」
「おばあさん……そういえば、昔、エレのケーキをよく焼いたって言ってたよね?
作り方をイリヤに教えてあげたらどう?」
「エレのケーキだって?そいつはすごくうまそうだ!
おばあさん、ぜひ僕にそのケーキの作り方を教えてよ!」
イリヤは身を乗り出し、サンドラに熱い声をかけた。
「あぁ、いいとも。」
「やったーー!」
五人で囲んだ食卓は、食事が済むまで、始終会話と明るい笑い声に包まれた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。
万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる