夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ポーリシアの老女

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 「イリヤ、とっても美味しいよ!」

 「それに見た目もすっごく綺麗だ!
あんた、これだけの腕があるんなら、絶対にどこかで雇ってもらえると思うぜ!」

 「また、そんな……
フレイザーは大袈裟なんだから!」

イリヤは照れ臭そうにはにかみながら俯いた。



 「いや、本当に自信を持って良いと思う。
たいしたもんだ。」

 「ジャック……本当かい?」

イリヤは、少し驚いたような表情でジャックに問い返した。



 「本当だよ。
こんなにうまい料理は久し振りに……あ、エリオットのも美味しかったよ。
ただ、今日のは手慣れてるっていうのか……」

サンドラは話しかけてからエリオットに気を遣い、気まずそうに口篭もる。



 「おばあさん、気にしないで。
ボクは炒めるか煮ることしか出来ないし、ナイフの使い方だってうまくないもん。
ほら、見て、この野菜。
こんな手の込んだ切り方、僕にはとても出来ないよ。」

そう言いながら、エリオットは綺麗に飾り切りされたサラダの野菜をフォークで指した。



 「あんたは繊細な性格だね。
この分じゃ、きっと、お菓子作りもうまいんだろうね。」

 「それが、僕は小さい頃に母さんが亡くなってるから、お菓子自体、あまり食べたことがなくて……
父さんは甘い物が好きじゃなかったから、お菓子を作ってもらったことは全然ないんだ。
だから、もちろん作り方もまるで知らない。」

 「……なるほど、そうだったのかい。
お菓子は分量を間違えただけでもうまくいかないことが多いんだ。
だから、大雑把な者には向かないんだけど、あんたならすぐにうまく出来るようになると思うよ。」

 「おばあさん……そういえば、昔、エレのケーキをよく焼いたって言ってたよね?
 作り方をイリヤに教えてあげたらどう?」

 「エレのケーキだって?そいつはすごくうまそうだ!
おばあさん、ぜひ僕にそのケーキの作り方を教えてよ!」

イリヤは身を乗り出し、サンドラに熱い声をかけた。



 「あぁ、いいとも。」

 「やったーー!」

 五人で囲んだ食卓は、食事が済むまで、始終会話と明るい笑い声に包まれた。
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