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ポーリシアの老女
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*
「エリオット、大丈夫そうだな。
安心したよ。」
「……大丈夫って?」
ケトルを火にかけたエリオットが、フレイザーに向かって小首を傾げる。
「おまえがなかなか戻って来ないから、心配してたんだぞ。
ここの婆さん、えらく恐ろしいって話だったから。」
「フレイザー…あのおばあさんがそんな人に見える?
今までここに来た人達は、ろくに働きもしなかったみたいだよ。
だから、おばあさんも叱ったんじゃないかな?」
「そうなのか?
ま、確かに怖そうな人には見えなかったけど……
でも、そしたらなんでさっさと願い石のことを聞いて戻って来ないんだ?」
「フレイザー、おばあさんは足が悪いのに、ここはとても不便な場所だろ?
家の中も酷い事になってたんだ。
今はなんとかそれなりに片付いてきたけど、それでもまだ井戸も壊れてるし、あちこち……
あ、そうだ!
フレイザー、せっかく来たんだから手伝ってよ!
建付けの悪い扉とか、雨漏りしそうな所とかいろいろあるんだ!」
エリオットは質問されたことも忘れ、不意に思い着いたことをフレイザーに依頼した。
「えっ……俺、大工仕事はあんまり自信はないけど……うん、わかった。
とりあえず、やってみるよ。」
フレイザーとエリオットは、台所でそんな話を交わした後、居間にお茶を運んだ。
*
「おばあさん!今日ね、彼らがいろいろ手伝ってくれることになったんだ。」
「でも、あんまり期待はしないでくれよ。
俺、大工仕事はあんまり……」
「大工仕事?僕、少しなら出来るよ。
小さい頃から、そういうことは好きだったから。
あ、フレイザー、さっきのエレの木だけど、驚くなかれ!あれは一年中実がつくんだってさ!
それにね、ここの畑や果物の木は手入れをしなくても勝手に実がなるんだって!
すごいよね!」
フレイザー達が席をはずしていた間に、サンドラから話を聞いたらしく、イリヤが興奮した様子でそう話した。
「へぇ…さすがは魔法使いだな!」
「……残念ながら、私は魔法使いでもなんでもないんだ。
ただ、ここに以前住んでたのが魔法使いだったから、そんな風になってるだけだよ。」
「えっ!そうなんですか!?」
驚いたのはフレイザーばかりではなかった。
サンドラが自分からそんなことを言い出したことに、エリオットも目を丸くした。
「エリオット、大丈夫そうだな。
安心したよ。」
「……大丈夫って?」
ケトルを火にかけたエリオットが、フレイザーに向かって小首を傾げる。
「おまえがなかなか戻って来ないから、心配してたんだぞ。
ここの婆さん、えらく恐ろしいって話だったから。」
「フレイザー…あのおばあさんがそんな人に見える?
今までここに来た人達は、ろくに働きもしなかったみたいだよ。
だから、おばあさんも叱ったんじゃないかな?」
「そうなのか?
ま、確かに怖そうな人には見えなかったけど……
でも、そしたらなんでさっさと願い石のことを聞いて戻って来ないんだ?」
「フレイザー、おばあさんは足が悪いのに、ここはとても不便な場所だろ?
家の中も酷い事になってたんだ。
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あ、そうだ!
フレイザー、せっかく来たんだから手伝ってよ!
建付けの悪い扉とか、雨漏りしそうな所とかいろいろあるんだ!」
エリオットは質問されたことも忘れ、不意に思い着いたことをフレイザーに依頼した。
「えっ……俺、大工仕事はあんまり自信はないけど……うん、わかった。
とりあえず、やってみるよ。」
フレイザーとエリオットは、台所でそんな話を交わした後、居間にお茶を運んだ。
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「おばあさん!今日ね、彼らがいろいろ手伝ってくれることになったんだ。」
「でも、あんまり期待はしないでくれよ。
俺、大工仕事はあんまり……」
「大工仕事?僕、少しなら出来るよ。
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あ、フレイザー、さっきのエレの木だけど、驚くなかれ!あれは一年中実がつくんだってさ!
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すごいよね!」
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「へぇ…さすがは魔法使いだな!」
「……残念ながら、私は魔法使いでもなんでもないんだ。
ただ、ここに以前住んでたのが魔法使いだったから、そんな風になってるだけだよ。」
「えっ!そうなんですか!?」
驚いたのはフレイザーばかりではなかった。
サンドラが自分からそんなことを言い出したことに、エリオットも目を丸くした。
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