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ポーリシアの老女
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*
「ごちそうさま。」
「ごめんね。
話しこんでしまったから、すっかり遅くなっちゃって。」
申し訳なさそうに眉を下げ、エリオットはそう言って食器を片付けた。
「そんなこと、構わないさ。
ところで、エリオット……忙しい中悪いんだけど、散歩に連れて行ってくれないかい?
なに、そこらをぐるっと回るだけで良いんだ。」
「本当に!?、そりゃあ良いね!
今日はお天気も良いし、外に出るのは良いことだからね!
うん、行こう!」
*
「久し振りだよ…こんな明るい陽の光を浴びるのは……」
岩に腰掛け、サンドラはそう言って眩しそうに目を細めた。
「毎日少しずつ散歩しようね。
そしたら、足もきっと良くなるよ。」
「ありがとうよ、エリオット。
……だけど、もう良いんだ。
もう十分だよ。
あんたには旅の仲間がいるんだろ?
願い石はあんたにあげるから、それをもって……」
「その話はなし!
僕はまだ帰らない!
あの家をもっと暮らしやすくしてからじゃないと、ボク、帰らないから。」
サンドラは、そんなエリオットに苦笑する。
「そんなこと言ってたら、いつまで経っても帰れないよ。
あんたと別れるのは寂しいけど、私は本当に……」
「その話はもうおしまいだって言ったでしょ!
さぁ、そろそろ帰ろう……」
そう言って片手を差し出したエリオットに、サンドラは小さな溜め息を吐いた。
(今のままじゃ、とても帰れないよ……
それに、願い石が本物じゃないってこと…言い出し難いな。
おばあさん、きっとショックを受けるだろうし……
嘘を吐いて、ありがたく受け取った方が良いのかな……)
「……エリオット、どうかしたのかい?」
「え……?ううん、なんでもない。
さ、ゆっくりで良いから、家まで歩こうね。」
エリオットは、もやもやした胸の内をひた隠し、サンドラに明るく微笑みかけた。
「ごちそうさま。」
「ごめんね。
話しこんでしまったから、すっかり遅くなっちゃって。」
申し訳なさそうに眉を下げ、エリオットはそう言って食器を片付けた。
「そんなこと、構わないさ。
ところで、エリオット……忙しい中悪いんだけど、散歩に連れて行ってくれないかい?
なに、そこらをぐるっと回るだけで良いんだ。」
「本当に!?、そりゃあ良いね!
今日はお天気も良いし、外に出るのは良いことだからね!
うん、行こう!」
*
「久し振りだよ…こんな明るい陽の光を浴びるのは……」
岩に腰掛け、サンドラはそう言って眩しそうに目を細めた。
「毎日少しずつ散歩しようね。
そしたら、足もきっと良くなるよ。」
「ありがとうよ、エリオット。
……だけど、もう良いんだ。
もう十分だよ。
あんたには旅の仲間がいるんだろ?
願い石はあんたにあげるから、それをもって……」
「その話はなし!
僕はまだ帰らない!
あの家をもっと暮らしやすくしてからじゃないと、ボク、帰らないから。」
サンドラは、そんなエリオットに苦笑する。
「そんなこと言ってたら、いつまで経っても帰れないよ。
あんたと別れるのは寂しいけど、私は本当に……」
「その話はもうおしまいだって言ったでしょ!
さぁ、そろそろ帰ろう……」
そう言って片手を差し出したエリオットに、サンドラは小さな溜め息を吐いた。
(今のままじゃ、とても帰れないよ……
それに、願い石が本物じゃないってこと…言い出し難いな。
おばあさん、きっとショックを受けるだろうし……
嘘を吐いて、ありがたく受け取った方が良いのかな……)
「……エリオット、どうかしたのかい?」
「え……?ううん、なんでもない。
さ、ゆっくりで良いから、家まで歩こうね。」
エリオットは、もやもやした胸の内をひた隠し、サンドラに明るく微笑みかけた。
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