夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ポーリシアの老女

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 「なんだってーーー!」

 次の日、フォスターから到着した四人と合流したフレイザーとジャックは、セリナの石への反応がないということを聞き、驚き、そして落胆した。



 「あぁ…すっかり忘れてた。
なんで気付かなかったんだろう。
セリナが何も感じなきゃ、ここに願い石がないことは確かめるまでもないよな。」

フレイザーは、照れ臭そうに微笑みながら頭をかく。



 「残念だが、今回はそういうことになるな。
それで、この先のことなんだが……」

 「ちょっと待ってくれ……」

ジャックが、話し始めたダルシャの言葉を遮った。



 「……どうしたんだ?ジャック。」

 「昨日、俺とフレイザーで沼地の婆さんのことを調べた。
 婆さんの幼馴染の爺さんから話を聞いたんだが、爺さんが見たものは話の様子から確かに願い石だって思える。
セリナが石の存在を感じないのならここにはないのかもしれないが、あの婆さんはきっと何かを知ってると思うんだ。
だから、一応、婆さんにあたってみたらどうだろう?」

 「なるほど…
確かにジャックの言う通りだ。
その老女は願い石の情報を持っているのかもしれない。
しかし、すでに彼女の手を離れているのなら、他所からでも情報は調べられるのではないか?
 話によれば、けっこう評判の良くない人物のようだし、却ってよそから探す方が早いのではないだろうか?
それに…彼女は女性のお手伝いを必要としているようだが…セリナやエリオットはそこに行く気はあるのか?」

エリオットは少し驚いた表情を浮かべ、セリナははっきりとしない顔で微笑んだ。



 「そのことなんだが…
行くとしたら、エリオットが良いと思う。
あの婆さんが住んでる家は、昔、魔法使いが住んでた家らしいんだ。
 人付き合いも悪いらしいし、きっと魔法使いだけを信頼してるとか、そういうことじゃないかって思うんだ。」

 「えっ…ボ、ボクが気難しいお婆さんの所に…!?」

 「エリオットがいやなら私が行っても良いわよ。」

 軽く声を発したセリナに、皆の視線が集まる。



 「セリナ…しかし…
そのお婆さんは魔法使いが好きなんだぞ。
 魔法使いじゃない君が行っても気に食わんだろうし、こき使われるだけかもしれんぞ。」

 「それでも良いじゃない。
 要は願い石の話さえ聞ければ良いんだし…私、少々のことにはへこたれない自信があるもの。
 大丈夫よ。」

そう話すセリナの瞳には強い意志のようなものが感じられた。



 「……そうか、そこまで言うのなら、セリナに…」

 「……ま、待って…」



 躊躇いがちに声を発したのは、困ったような顔をしたエリオットだった。

 
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