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ポーリシアの老女
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「ジャック!ごめんっっ!」
「……何が?」
「なにがじゃないだろ…
俺、おまえが飛びこもうとしてるんだって勘違いして…ほら……」
ジャックは、何かを思い出したようにゆっくり大きく頷く。
「フレイザー…勘違いして一体どうしたっていうんだ?」
「それが、その……」
言いにくそうに口篭もるフレイザーの横から、ジャックが口を出した。
「ひっぱたかれた。」
「えっ!?」
「なんだって?」
ダルシャとセリナは目を丸くしてフレイザーの顔をみつめた。
「あぁ、本当だ。それも、一瞬、頭がくらっとする程のすごい勢いでな……
びっくりしたよ。
だって、突然、わけもわからず引っ叩かれたんだから……」
ジャックは、視線を宙に浮かせながらわざとらしく頬をさする。
「……だから…あれは勘違いだったんだ。
おまえがじっと沼の方を見てたから、てっきり、その……
ご、ごめん!本当に悪かった!」
真剣な顔で謝罪しながら俯くフレイザーを見て、ジャックは小さく噴き出した。
「……ジャック…?」
「あんなこと、なんとも思ってないよ。
……俺のせいで今まであんたには何度も痛い想いをさせてしまった。
そのことに比べたら、なんてことないさ。」
「そんなことがあったのか…
……確かに昨夜のフレイザーは、めちゃくちゃだったもんな…」
「フレイザーは、それだけジャックのことを想ってるってことよ…」
そう言って、セリナはちらりとフレイザーの方を見遣り、フレイザーはその視線をはずして俯いた。
「そ、そんなことより、さっきの話の続きがまだあるんだ。
願い石を持ってる婆さんのことなんだけど…」
どこか焦った様子で、ジャックは話し始めた。
「その婆さんは、高齢の上に持病があるらしくって身体がずいぶん弱ってるそうで、それで、お手伝いを探しているそうなんだ。
だけど、婆さんにはお手伝いを雇う程の金はない。
それで、もし満足出来る程ちゃんと勤めることが出来たら、願い石をやるとかなんとかいって働かせるらしいんだ。
だけど、今まで誰のことも気に入らず、さんざん働かせて放り出したそうで、町の皆はあの婆さんが願い石を持ってるなんてこと誰も信じていないらしい。」
「……何が?」
「なにがじゃないだろ…
俺、おまえが飛びこもうとしてるんだって勘違いして…ほら……」
ジャックは、何かを思い出したようにゆっくり大きく頷く。
「フレイザー…勘違いして一体どうしたっていうんだ?」
「それが、その……」
言いにくそうに口篭もるフレイザーの横から、ジャックが口を出した。
「ひっぱたかれた。」
「えっ!?」
「なんだって?」
ダルシャとセリナは目を丸くしてフレイザーの顔をみつめた。
「あぁ、本当だ。それも、一瞬、頭がくらっとする程のすごい勢いでな……
びっくりしたよ。
だって、突然、わけもわからず引っ叩かれたんだから……」
ジャックは、視線を宙に浮かせながらわざとらしく頬をさする。
「……だから…あれは勘違いだったんだ。
おまえがじっと沼の方を見てたから、てっきり、その……
ご、ごめん!本当に悪かった!」
真剣な顔で謝罪しながら俯くフレイザーを見て、ジャックは小さく噴き出した。
「……ジャック…?」
「あんなこと、なんとも思ってないよ。
……俺のせいで今まであんたには何度も痛い想いをさせてしまった。
そのことに比べたら、なんてことないさ。」
「そんなことがあったのか…
……確かに昨夜のフレイザーは、めちゃくちゃだったもんな…」
「フレイザーは、それだけジャックのことを想ってるってことよ…」
そう言って、セリナはちらりとフレイザーの方を見遣り、フレイザーはその視線をはずして俯いた。
「そ、そんなことより、さっきの話の続きがまだあるんだ。
願い石を持ってる婆さんのことなんだけど…」
どこか焦った様子で、ジャックは話し始めた。
「その婆さんは、高齢の上に持病があるらしくって身体がずいぶん弱ってるそうで、それで、お手伝いを探しているそうなんだ。
だけど、婆さんにはお手伝いを雇う程の金はない。
それで、もし満足出来る程ちゃんと勤めることが出来たら、願い石をやるとかなんとかいって働かせるらしいんだ。
だけど、今まで誰のことも気に入らず、さんざん働かせて放り出したそうで、町の皆はあの婆さんが願い石を持ってるなんてこと誰も信じていないらしい。」
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ありがとうございます!
(小説より高評価で複雑な気持ちです)
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