夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ポーリシアの老女

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 「本当に大丈夫なのか!?
ジャックを一人にして……」

 「あぁ、大丈夫だ。
 彼女は完全に落ち付いてる。
それに、隣の部屋なんだから彼女が出て行けば、気配でわかるだろう。」

 「俺…ちょっと…」

 「やめておけ!
……今夜は一人にしてやった方が良い。」

 立ち上がったフレイザーの腕を、ダルシャが引き止めた。



 「……わかったよ。」

フレイザーは、渋い顔をして再び席に着いた。



 「それにしても、ジャックは一体何を隠してるのかしら?
 私達には女だってことも、なぜ男のふりをしてるかもすべて打ち明けたのに、今更…」

 「……それよりも格段に言いにくいことなのだろうな。
フレイザー……覚悟は出来てるのか?」

 「……そうだな。
 多分、出来てると思う。
ジャックにどんなことがあったって、俺とジャックが過ごして来た時間は何も変わらない。
それと同じように俺が知ってるジャックが変わることはないと思うんだ。」

 「フレイザー……どうかお願い…
ジャックを幸せにしてあげて。
ジャックっていう偽りの衣を脱ぎ捨てて、ジャネットとして生きていけるようにしてあげてほしいの…」

セリナはそう言って、フレイザーの瞳をみつめ、両手を固く握り締めた。



 「正直言って俺にはまだ実感もなけりゃ、自信も何もない。
ジャックには誰にも話せない重大な秘密があるみたいだし、ジャックがそれを俺に打ち明けてくれる程信頼してくれるようになるまでには、きっとまだずいぶん時間がかかると思うんだ。
でも…俺は、そんな日がいつかきっと来ると信じて待ってみるよ。
その間に、俺の小さな炎ももっと大きくなってくれれば良いな…」

 「君の炎は小さいわけではないと思うぞ。
その証拠に、さっきの君の格好といったら…
ランプもどこでなくしたか覚えていないのだろう?
 君はそれほど彼女のことをひたむきに考えていたということだ。
ただ、君が鈍いからどの程度、自分の気持ちが燃え上がってるか気付いていないないだけだな、きっと。」

 「鈍いって……そんなにはっきり…酷いじゃないか…
俺ってそんなに鈍いか?」

 真面目な顔をして同じように頷いたダルシャとセリナに、フレイザーは思わず噴き出す。



 「あぁ、あぁ…俺はどうせ鈍い男だよ。
だから……これからも協力してくれよな。」

 「あぁ、もちろんだ。」

 三人は顔を見合せ、穏やかに微笑んだ。
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