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ポーリシアの老女
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「な、なんだってーーー!」
「酷いじゃないか!
人の気持ちを弄ぶような真似をして!」
フレイザーは目と口を大きく開いたままあぜんとし、ジャックは鋭い視線でセリナを睨み付けた。
「……ごめんなさい、ジャック。
ここに来る途中、ダルシャにも叱られたわ…やりすぎだって。
でもね…あなたがあんなことを言うから……願い石がみつかる前にどうしてもなんとかしないといけないって思ったの。」
セリナは、ジャックの視線をしっかりと受け止めながら、そう弁明した。
「ジャック…本当にセリナには困ったものだ。
君やフレイザーには酷いことをしたと思ってる。
だけど……セリナが君のことを心から案じているのは本当だ。
君の幸せを願っている。
それは私も同じだ。
事前に相談を受けていたとしたら、私はまたそれを承諾していたかもしれない。
だから、私も同罪だな。
すまなかった…ジャック……」
宿に着き、セリナは事の顛末を洗いざらい話した。
昨日、セリナは、願い石の情報を早くみつけて皆を驚かせようとジャックをそそのかし、一足先に隣町に行くようにすすめた。
皆には、たまには一人でゆっくりしたいからジャックは別の宿に泊まると話しておくと嘘を吐いて。
それはもちろんフレイザーのジャックへの気持ちを確かめるためだった。
ジャックがいなくなれば、フレイザーは自分の本心に目覚めるのではないかとセリナは考えたのだ。
前夜のジャックの意味深な発言が、セリナの計画に思いがけず拍車をかけ、フレイザーはまんまとその罠にはめられたという事だった。
「セリナ!俺は言った筈だ!
俺は、フレイザーに好かれたいなんて思ってない。
それに、男になりたいと思ったのは、フレイザーのこととは関係ない!
俺は前からずっとそう考えてた。
見ろよ、あんたがつまらない嘘をついたせいで、フレイザーは…」
「ジャック…こんなのなんともない。
大丈夫だ。」
フレイザーは、先程ジャックが膝にまいたハンカチを叩いて笑った。
「な、なんだってーーー!」
「酷いじゃないか!
人の気持ちを弄ぶような真似をして!」
フレイザーは目と口を大きく開いたままあぜんとし、ジャックは鋭い視線でセリナを睨み付けた。
「……ごめんなさい、ジャック。
ここに来る途中、ダルシャにも叱られたわ…やりすぎだって。
でもね…あなたがあんなことを言うから……願い石がみつかる前にどうしてもなんとかしないといけないって思ったの。」
セリナは、ジャックの視線をしっかりと受け止めながら、そう弁明した。
「ジャック…本当にセリナには困ったものだ。
君やフレイザーには酷いことをしたと思ってる。
だけど……セリナが君のことを心から案じているのは本当だ。
君の幸せを願っている。
それは私も同じだ。
事前に相談を受けていたとしたら、私はまたそれを承諾していたかもしれない。
だから、私も同罪だな。
すまなかった…ジャック……」
宿に着き、セリナは事の顛末を洗いざらい話した。
昨日、セリナは、願い石の情報を早くみつけて皆を驚かせようとジャックをそそのかし、一足先に隣町に行くようにすすめた。
皆には、たまには一人でゆっくりしたいからジャックは別の宿に泊まると話しておくと嘘を吐いて。
それはもちろんフレイザーのジャックへの気持ちを確かめるためだった。
ジャックがいなくなれば、フレイザーは自分の本心に目覚めるのではないかとセリナは考えたのだ。
前夜のジャックの意味深な発言が、セリナの計画に思いがけず拍車をかけ、フレイザーはまんまとその罠にはめられたという事だった。
「セリナ!俺は言った筈だ!
俺は、フレイザーに好かれたいなんて思ってない。
それに、男になりたいと思ったのは、フレイザーのこととは関係ない!
俺は前からずっとそう考えてた。
見ろよ、あんたがつまらない嘘をついたせいで、フレイザーは…」
「ジャック…こんなのなんともない。
大丈夫だ。」
フレイザーは、先程ジャックが膝にまいたハンカチを叩いて笑った。
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