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ポーリシアの老女
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「その時になにかあったの?」
「……あいつ…
一生誰も愛することなんてないと思ってたのに、俺を愛することが出来て感謝してるとか…
それで、決心出来たとか、もう思い残すことはなにもないとか言ったんだ。」
「決心っていうのは、男になること?
それとも、皆に自分の秘密を全部ぶちまけるってことかな?
でも、どっちにしても思い残すことがないなんて……なんだか不安になる言葉だね。」
「やっぱり、おまえもそう思うか?
そうだよな…まさか…ジャック、おかしなことでも考えてるんじゃ…」
フレイザーの表情が俄かに険しいものに変わり、答えを期待するような視線でエリオットの顔をじっとみつめた。
「そ、それはないとは思うけど…
だって、男になるって決心したわけだから…
でも、ジャックはフレイザーに失恋したわけだから、ショックを受けてるのは間違いないとは思うんだ。」
「失恋って……何も俺ははっきりとだめだって言ってるわけじゃ……」
「えっ!?それじゃあ、まさかジャックの気持ちに応えるつもりなの!?」
丸い目をして、今度はエリオットがフレイザーに詰め寄った。
「い、いや…そういうわけでは……」
「もうっ!……一体、どっちなんだよ!
そんな風に君がはっきりしないからいけないんだよ!
昨日も言ったじゃない…ボクらはいずれここを離れるんだ。
だから、そのこともしっかり考えなくちゃ…
何も帰れるようになったらすぐに帰るなんて言わないよ。
少しくらいならここにいて良いと思う。
だけど……一生はいられない。
それに…親しくなればなるほど…長く一緒にいればいる程、別れは辛くなると思うんだ。
まして、本気で好きになってしまったらなおさら……」
「わかってるよ、そんなこと……」
不機嫌な感情を顕わにしたフレイザーのその言葉で、二人の間に気まずい沈黙が流れた。
「……ボクには恋愛経験もないし、君の役に立つようなアドバイスは出来ないと思う。
ダルシャに相談してみた方が良いと思うよ、きっと…」
そう言い残し、その場から歩き出したエリオットの後ろ姿をみつめながら、フレイザーは小さな溜め息を吐いた。
「……あいつ…
一生誰も愛することなんてないと思ってたのに、俺を愛することが出来て感謝してるとか…
それで、決心出来たとか、もう思い残すことはなにもないとか言ったんだ。」
「決心っていうのは、男になること?
それとも、皆に自分の秘密を全部ぶちまけるってことかな?
でも、どっちにしても思い残すことがないなんて……なんだか不安になる言葉だね。」
「やっぱり、おまえもそう思うか?
そうだよな…まさか…ジャック、おかしなことでも考えてるんじゃ…」
フレイザーの表情が俄かに険しいものに変わり、答えを期待するような視線でエリオットの顔をじっとみつめた。
「そ、それはないとは思うけど…
だって、男になるって決心したわけだから…
でも、ジャックはフレイザーに失恋したわけだから、ショックを受けてるのは間違いないとは思うんだ。」
「失恋って……何も俺ははっきりとだめだって言ってるわけじゃ……」
「えっ!?それじゃあ、まさかジャックの気持ちに応えるつもりなの!?」
丸い目をして、今度はエリオットがフレイザーに詰め寄った。
「い、いや…そういうわけでは……」
「もうっ!……一体、どっちなんだよ!
そんな風に君がはっきりしないからいけないんだよ!
昨日も言ったじゃない…ボクらはいずれここを離れるんだ。
だから、そのこともしっかり考えなくちゃ…
何も帰れるようになったらすぐに帰るなんて言わないよ。
少しくらいならここにいて良いと思う。
だけど……一生はいられない。
それに…親しくなればなるほど…長く一緒にいればいる程、別れは辛くなると思うんだ。
まして、本気で好きになってしまったらなおさら……」
「わかってるよ、そんなこと……」
不機嫌な感情を顕わにしたフレイザーのその言葉で、二人の間に気まずい沈黙が流れた。
「……ボクには恋愛経験もないし、君の役に立つようなアドバイスは出来ないと思う。
ダルシャに相談してみた方が良いと思うよ、きっと…」
そう言い残し、その場から歩き出したエリオットの後ろ姿をみつめながら、フレイザーは小さな溜め息を吐いた。
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