夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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波に揺られて

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 次の朝早く、ダルシャはジャックの部屋を訪ねた。



 「おはよう、ジャック。」

 「ダルシャ…どうしたんだ?
こんなに早くに…」

 思い掛けないダルシャの訪問に、ジャックは怪訝な表情を浮かべた。



 「今日は君に少し頼み事があってな…
それと、フレイザーだが私の部屋で酔い潰れている。」

 「そうか…フレイザーはあんたの部屋に…
ところで、俺に頼み事って何なんだ?」

 「つまらない頼み事ですまないんだが…
実はとてもしつこい女性につきまとわれていてな…困った私は、彼女を諦めさせるため、最近は女性よりも同性に興味があると嘘を吐いた。
 現在も好きな少年がいて、その彼も私に好意を持ってくれているようだと…」

 「なんだ、そりゃ…
その少年の役を俺にやれっていうのか?」

 「まぁ、そういうことだ。
ラスターにはこんなことは頼めないし、フレイザーは少年という年ではない。
 女性が相手なら彼女も納得しないだろうが、同性のしかも若い子が好きだといったらさすがに諦めるだろうからな。
 恩をきせるわけではないが……以前、私がフレイザーに血をわけた時、君は感謝してると言ってくれたよな…?」

ジャックは俯いて黙っていたが、やがてゆっくりと顔を上げ、ダルシャをみつめる。



 「汚い奴だな。そんなこと言われたら俺が断れないのを知っていて…
やるよ…やれば良いんだろ。」

 「ありがとう、ジャック。
 彼女はとんでもない所に隠れては、常に私の行動を見張っている。
いつどこで見られてるかもしれないから、こんな風に二人っきりの時以外は、絶対に素を見せないでくれよ。
 私のすることにあわせてくれ。
あくまでも私に好意を持っているようなふりをしてくれ。
なに、あと数日のことだ。」

 「わかった、わかった。」

 「それじゃあ、後でな……」

 手を振り部屋を出て行くダルシャに、ジャックは小さな溜め息を吐いた。
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