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ディーラスを目指して
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「そうじゃないよ。
……何度も言ってるじゃないか、ボクはフレイザーに恋愛感情なんて持ってないし、フレイザーだってそうだよ。
彼とボクとは…親友みたいなもんだね。」
「親友…?
男と女の間に友情なんてあるもんか。
それに、おまえとフレイザーとじゃ年だってずいぶん違う。」
ラスターは意地悪い口調でそう言って、口端を僅かに上げた。
「エリオット…ラスターは酔っ払ってるのよ。
相手にすることなんてないわ。
そんなことより、ラスター…さっきのあの願いは本心なの?
大金がほしいだなんて…」
セリナはエリオットをかばうように肩を抱き、厳しい視線でラスターを睨み付ける。
「あぁ、本心だとも。
俺がほしいものは金だけだ。
子供の頃から、俺はずっと金のことで苦労して来た。
金さえあれば、俺はあんな惨めな想いはすることはなかったんだ。
金のない辛さなんて…体験しなきゃわからないだろうけどな…」
「だけど…」
「お説教なんて聞きたくないね。
……さて、と…俺は外で飲んで来るかな…
ここじゃ、うまい酒は飲めそうにないからな…」
その場の雰囲気を悪くした張本人は、酒瓶片手に鼻歌を歌いながら食堂を出て行った。
「……相変わらずだな…」
ラスターの後ろ姿を目で追いながら、ジャックが吐き捨てるように呟いた。
「まぁ、良いじゃないか…
あいつの言うことも、ま、もっともと言えばもっともだからな。」
「……フレイザー、なんでなんだ?
普段のあんたはどんなに辛いことでもそのことから逃げるような人間じゃない…
なのに、どうして…」
「それは…だな…」
フレイザーがジャックに返す言葉を捜すうちに、エリオットはジャックの横に席を移し、耳元で小さな声で囁いた。
「ジャック…ボク…以前、話したよね…魔法で、ほら…
フレイザーは、きっと、過去にもそんなことがあったんじゃないかって考えてるんだと思うんだ。」
ジャックは大きく目を見開いてエリオットをみつめ、エリオットはそれとは裏腹に冷静な顔でゆっくりと頷く。
……何度も言ってるじゃないか、ボクはフレイザーに恋愛感情なんて持ってないし、フレイザーだってそうだよ。
彼とボクとは…親友みたいなもんだね。」
「親友…?
男と女の間に友情なんてあるもんか。
それに、おまえとフレイザーとじゃ年だってずいぶん違う。」
ラスターは意地悪い口調でそう言って、口端を僅かに上げた。
「エリオット…ラスターは酔っ払ってるのよ。
相手にすることなんてないわ。
そんなことより、ラスター…さっきのあの願いは本心なの?
大金がほしいだなんて…」
セリナはエリオットをかばうように肩を抱き、厳しい視線でラスターを睨み付ける。
「あぁ、本心だとも。
俺がほしいものは金だけだ。
子供の頃から、俺はずっと金のことで苦労して来た。
金さえあれば、俺はあんな惨めな想いはすることはなかったんだ。
金のない辛さなんて…体験しなきゃわからないだろうけどな…」
「だけど…」
「お説教なんて聞きたくないね。
……さて、と…俺は外で飲んで来るかな…
ここじゃ、うまい酒は飲めそうにないからな…」
その場の雰囲気を悪くした張本人は、酒瓶片手に鼻歌を歌いながら食堂を出て行った。
「……相変わらずだな…」
ラスターの後ろ姿を目で追いながら、ジャックが吐き捨てるように呟いた。
「まぁ、良いじゃないか…
あいつの言うことも、ま、もっともと言えばもっともだからな。」
「……フレイザー、なんでなんだ?
普段のあんたはどんなに辛いことでもそのことから逃げるような人間じゃない…
なのに、どうして…」
「それは…だな…」
フレイザーがジャックに返す言葉を捜すうちに、エリオットはジャックの横に席を移し、耳元で小さな声で囁いた。
「ジャック…ボク…以前、話したよね…魔法で、ほら…
フレイザーは、きっと、過去にもそんなことがあったんじゃないかって考えてるんだと思うんだ。」
ジャックは大きく目を見開いてエリオットをみつめ、エリオットはそれとは裏腹に冷静な顔でゆっくりと頷く。
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