夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ディーラスを目指して

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 「みんな、疲れただろう…
残念ながら今回は双子石だったが、それでも無事にみつけることが出来た。
 今日は思う存分楽しんでくれ。」

 宿の食堂を貸し切りにして、労いの宴は始まった。



 「これが双子石…見た目よりも重いんですね。
しかも、ひんやりとして気持ちが良い…願い石もこんな感じなんですか?」

 「そうだよ。
 願い石と双子石は見た目も重さも全く同じ。
だから、願い事を言ってみないと、どっちなのかわからないんだ。」

 「なるほど…」

ブライアンは、洗われて透明度を増した紫の双子石をながめ、しみじみと呟いた。



 「それにしても、本当に驚いたわ。
あなたの能力はすごいものね。」

 「……たまたまですよ。
 僕は今までこんな風に夢で預言のようなものを受け取ることはなかった…」

 「それじゃあ、あなたは普段どんな風にして占うの?
……そうだわ、エリオット…せっかくだから視てもらいなさいよ。
もしかしたら、あなたの過去が何かわかるかもしれないわ!」

 「え…でも、ボク…」

 今のこの困った状況に、救いを求めるように見たフレイザーは、ジャックやダルシャと何かを話していて、エリオットの視線には気付かない。
エリオットは諦め、渋々ながら頷いた。



 「えっと、じゃあ、どうすれば良い?
ボク、生年月日もわからないよ。」

 「そんなものは必要ありませんよ。
ただ、少し手を……」

そう言うと、ブライアンはエリオットの手を取り、何かを考えるように視線をぼんやりと宙に浮かせる。



 「……あれ…?」

 「何?もう何か見えたの?」

セリナは、ブライアンの様子に、興味深気な反応を示した。



 「エリオット…君にはご兄弟…いえ、双子かもしれません。
 君にそっくりな少年が見えました。
 彼は…なんだろう…とても、奇妙な…そう、見た事もないような近代的な部屋にいて、機械のようなものを操作しています。」

 「えっ!」

エリオットは、慌ててブライアンから手を引っ込めた。



 (す…すごい!
ブライアンにはボクの本当の家や姿が見えたんだ…!
 機械を操作って…そうか…ボクがゲームをしてる様子が見えたんだな…
この世界にはまだあんなゲームはないから、ブライアンはあれを機械だと思ったんだ、きっと。)



 「どうしたの、エリオット…
双子になにか思い当たることがあるの?」

 「そ、そうじゃないんだ……だ、だけど、ボク、何だか怖くなって…」

 「でも、あなたの過去を知るチャンスなのよ。
 視てもらった方が良いわ。」

 「だ、だけど…ボク……」

エリオットは、このままブライアンに視てもらうと、間違いなく自分達の秘密が暴かれるとの感じ、セリナのすすめを断る口実に頭を悩ませた。

 
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