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ディーラスを目指して
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「ところで、フレイザー…着いた早々で悪いのだが、ディーラスへは明日出発ということで大良いかな?」
「あぁ、全然問題ない。」
「ダルシャ…フレイザーは怪我をしている。
まだ治りきってないし、せめて一日…」
「怪我…?
あの時の怪我のほかに、また怪我をしたのか?」
「実は……」
フレイザーが止めるのも聞かず、ジャックはフレイザーが傷を負ったいきさつを切々と話し始めた。
「……そんなことがあったのか…
それでこんなに遅くなったんだな…」
「ダルシャ、もう心配ないって。
そりゃあ触ったら痛いけど、触らなきゃもうなんともないんだ。
今回は、出血もそれほど多くなかったし、身体への負担もたいしたことない。
ジャックが心配性なだけなんだ。」
「だけど、フレイザー…」
「おまえは本当に心配性だなぁ…」
困ったような表情を浮かべるフレイザーの視線をはずし、ジャックはそっと俯いた。
怪我をしていると聞いては、無理をさせて良いものかとダルシャも躊躇い、その場には気まずい沈黙が流れた。
「では、私達だけで…」
「……じゃあ、ダルシャ。」
同時に発せられたダルシャとジャックの声が重なった。
「なんだ、ジャック?」
ダルシャは、ジャックに話の順番を譲った。
「あ…あぁ…もし明日出発するなら、馬車で行かせてもらえないか。
馬車だったら座ってるだけだから、フレイザーの身体にも障らないと思うし…」
「もちろん、私としてもそうしたい所だが、あいにくここから先は馬車がないんだ。」
「……でも、俺達、ここへ夜途中に馬車を見たぜ。」
「そんな筈はないだろう…ここから先は確かに…」
「ダルシャ、そのことですが…
隣町には、乗り合いの馬車とは違うんですが、頼めば走ってくれる馬車屋があるようでしたよ。
ただ、乗り合いの倍程の値段がするということでしたが…」
「なんだって!?そんなものがあったのか!
それなら、慌しいが私とブライアンで今から隣町に行って、話をつけてこよう。
君達は私達の宿に泊まって、明日の朝、迎えに行くから準備しといてくれ。
私達の荷物も頼む。
……それで良いな?」
立ちあがったダルシャに、三人は同時に頷いた。
「あぁ、全然問題ない。」
「ダルシャ…フレイザーは怪我をしている。
まだ治りきってないし、せめて一日…」
「怪我…?
あの時の怪我のほかに、また怪我をしたのか?」
「実は……」
フレイザーが止めるのも聞かず、ジャックはフレイザーが傷を負ったいきさつを切々と話し始めた。
「……そんなことがあったのか…
それでこんなに遅くなったんだな…」
「ダルシャ、もう心配ないって。
そりゃあ触ったら痛いけど、触らなきゃもうなんともないんだ。
今回は、出血もそれほど多くなかったし、身体への負担もたいしたことない。
ジャックが心配性なだけなんだ。」
「だけど、フレイザー…」
「おまえは本当に心配性だなぁ…」
困ったような表情を浮かべるフレイザーの視線をはずし、ジャックはそっと俯いた。
怪我をしていると聞いては、無理をさせて良いものかとダルシャも躊躇い、その場には気まずい沈黙が流れた。
「では、私達だけで…」
「……じゃあ、ダルシャ。」
同時に発せられたダルシャとジャックの声が重なった。
「なんだ、ジャック?」
ダルシャは、ジャックに話の順番を譲った。
「あ…あぁ…もし明日出発するなら、馬車で行かせてもらえないか。
馬車だったら座ってるだけだから、フレイザーの身体にも障らないと思うし…」
「もちろん、私としてもそうしたい所だが、あいにくここから先は馬車がないんだ。」
「……でも、俺達、ここへ夜途中に馬車を見たぜ。」
「そんな筈はないだろう…ここから先は確かに…」
「ダルシャ、そのことですが…
隣町には、乗り合いの馬車とは違うんですが、頼めば走ってくれる馬車屋があるようでしたよ。
ただ、乗り合いの倍程の値段がするということでしたが…」
「なんだって!?そんなものがあったのか!
それなら、慌しいが私とブライアンで今から隣町に行って、話をつけてこよう。
君達は私達の宿に泊まって、明日の朝、迎えに行くから準備しといてくれ。
私達の荷物も頼む。
……それで良いな?」
立ちあがったダルシャに、三人は同時に頷いた。
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