夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ディーラスを目指して

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「そうだったな。
 確かにそのくらいみたいだな。
でも……そういえば、あんたはダルシャと違って、今まで一度も女を買いにいくこともなかったな。
……やっぱり、エリオットのことが好きだからか?」

 「ち、違うって!
 俺はエリオットにそんな気持ちを持ったことなんてない!」

 「でも、昔のことは覚えてないんだろ?
 一緒にいたんだから、恋人同士だったかもしれないじゃないか。」

 「そりゃあ、確かに昔のことはわからないが、でも、今は全くそんな気持ちはない!
それは間違いない!」

 「……ふ~ん……」

どこかフレイザーを小馬鹿にしているようなジャックの口調に、フレイザーは少し不機嫌になりながらもそれ以上何も言えずに俯いた。



 (当たり前だろ!
エリオットは男なんだぞ!
 俺が硝子玉にあんなくだらない願いをかけたからあんな風になってるだけで、男のエリオットを知ってるんだから恋愛感情なんて持てるはずがない…
でも、そんなこと、ジャックには言えないし…
 ……っていうか、やっぱり俺って遅れてるんだろうな。
 17で彼女の一人もいないなんて、クラスでも俺とエリオットと……まぁ二人だけじゃないだろうけど、多分少ないんだろうな。
だいたい、今まで特にものすごく好きになった女の子なんていなかった…そりゃあ、女の子に全然興味がなかったわけじゃないけど、そんなことより遺跡を探したりする方が楽しかったし…
でも、今の俺はどっからどう見ても大人なんだから、ジャックの言うようにちょっとくっついたくらいでドキドキしてるようじゃおかしいよな。
 今まではジャックが男だと思ってた時はなんともなかったのに、女だって知った途端になんでこんなに変わるんだよ……あぁ、俺ってだめな奴だ…)



 「どうしたんだ、フレイザー…
やっぱり足が痛むのか?」

 「え?い、いや、なんでもない。
ま、とにかくだな…ジャック、急ごうぜ。
 皆が待ってる!」

 「あぁ……」

 二人は、暗くなるまでには辿り着くであろうヘイレンを目指し、再び歩き始めた。

 
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