夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ディーラスを目指して

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 「ジャック…おまえもいいかげん寝ろって。
 俺はもう大丈夫だから…」

 診療所のベッドに横たわりながら、フレイザーがジャックに優しく声をかける。



 「いやだ…俺はここにいる。
いなきゃならないんだ。
あんたをこんな目に遭わせたのは俺なんだから…!」

 泣き腫らして赤くなったジャックの瞳から、また新たな涙がこぼれた。



ガリオンの群れに襲われた二人は、すんでの所で町の自警団の者達に助けられた。
 薬屋の主人が、フレイザーがジャックを探しに山に入ったことを伝え、派遣されたのだ。
 二人を見付けた団員達は、爆竹を鳴らしてガリオンの群れを一掃し、二人を町の診療所に運んだ。
フレイザーは身体の背面を中心に、至る所に噛み傷やひっかき傷があり、中には肉を食いちぎられる程の深い傷もあったが、幸い、命に関わる程のものではなかった。
ジャックは、フレイザーのおかげで木に登る前に噛まれた数ヶ所の浅い傷だけですんだが、彼が怪我をしたことへの精神的ショックが大きく、彼が手当てを受けている間も泣き叫び、団員が数人がかりで押さえる程の取り乱しようだった。



 「そうじゃないだろ。
 俺は俺の意志でおまえを探しに行ったんだ。
 夜になると魔物が出るから危険だって薬屋に言われたのに行ったんだから、これは俺のせいだ。」

 「それは俺が山に行ったからだ!」

 「おまえが山に行ったという確証はなかった。
それでも行ったのは俺の勝手な思い込みだ。
たまたまおまえは俺の予想通りにいただけじゃないか…
 ……それに、あの時、おまえの言う通りにしてたらこんなことにはならなかったんだよな。
 自警団の人達もさっき言ってたもんな。
ガリオン達は明るい時にはほとんど巣から出て来ないって。
……俺が悪かったんだ。危険な目にあわせてごめんな。」

 「違う!俺が悪いんだ!
 俺が山になんて行ったから…」

 「薬草を採りに行ったんだろ?
……俺の傷のために…」

ジャックはその言葉に唇を噛み締めて俯いた。
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