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ディーラスを目指して
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「エリオット、どうかした?
具合でも悪いの?」
セリナは、三人の話に混じらず一人ぼんやりと窓の外をながめているエリオットに気付き、声をかけた。
「……そうじゃないけど…ものすごく急だったし…
あの二人、大丈夫かなぁって気になって…」
「何を心配することがあるんだ?」
「何って…具体的に何かあるわけじゃないけど、やっぱり仲間とはいつも一緒にいたいじゃない。」
「もしかして……フレイザーのことを気にしてるのか!?」
ラスターの声が一際低くなった。
「そんなんじゃないよ。」
にわかに不機嫌な表情になったエリオットに、ラスターは小さく舌打ちする。
「……それで、あいつは願い石に何を頼むつもりなのかはまだ白状しないのか?」
「白状って……
私は、ジャックが自分から言い出すまで待つつもりだから聞いてないわ。」
「そうだよ、僕もそれで良いと思うよ。」
セリナとエリオットは、顔を見合せて頷いた。
「あいつにはえらく優しいんだな。
でも、仲間なら普通そういう隠し事はしないんじゃないのか!?」
「ジャックにはきっと言いたくない事情があるのよ。
そういうことを認めてあげるのが本当の仲間だわ!」
「セリナもラスターもそのくらいにしておくんだ。
人が見てるぞ。
……ジャックは仲間とはいえ、つい最近入ったばかりだから、もう少し待ってやろうじゃないか。
私だって彼には私の秘密をまだ打ち明けてない。」
「ダルシャの秘密を知ったら、ジャック、きっと驚くだろうなぁ…
そういえば、最近、ダルシャのあの姿見てないね。」
エリオットは、急に俯いて肩を震わせる。
「エリオット、駄目よ、笑っちゃ。
ダルシャに悪いじゃない!」
「ぼ、僕、別に笑ってなんか…
そういうセリナだって、その顔……」
「わ、私は何も……」
そう言ったセリナが噴き出し、それをきっかけにエリオットが…そしてラスターまでもが笑い始めた。
笑い転げる三人の傍らで、ダルシャは不機嫌な顔をして笑いがおさまるのを待ち続けた。
具合でも悪いの?」
セリナは、三人の話に混じらず一人ぼんやりと窓の外をながめているエリオットに気付き、声をかけた。
「……そうじゃないけど…ものすごく急だったし…
あの二人、大丈夫かなぁって気になって…」
「何を心配することがあるんだ?」
「何って…具体的に何かあるわけじゃないけど、やっぱり仲間とはいつも一緒にいたいじゃない。」
「もしかして……フレイザーのことを気にしてるのか!?」
ラスターの声が一際低くなった。
「そんなんじゃないよ。」
にわかに不機嫌な表情になったエリオットに、ラスターは小さく舌打ちする。
「……それで、あいつは願い石に何を頼むつもりなのかはまだ白状しないのか?」
「白状って……
私は、ジャックが自分から言い出すまで待つつもりだから聞いてないわ。」
「そうだよ、僕もそれで良いと思うよ。」
セリナとエリオットは、顔を見合せて頷いた。
「あいつにはえらく優しいんだな。
でも、仲間なら普通そういう隠し事はしないんじゃないのか!?」
「ジャックにはきっと言いたくない事情があるのよ。
そういうことを認めてあげるのが本当の仲間だわ!」
「セリナもラスターもそのくらいにしておくんだ。
人が見てるぞ。
……ジャックは仲間とはいえ、つい最近入ったばかりだから、もう少し待ってやろうじゃないか。
私だって彼には私の秘密をまだ打ち明けてない。」
「ダルシャの秘密を知ったら、ジャック、きっと驚くだろうなぁ…
そういえば、最近、ダルシャのあの姿見てないね。」
エリオットは、急に俯いて肩を震わせる。
「エリオット、駄目よ、笑っちゃ。
ダルシャに悪いじゃない!」
「ぼ、僕、別に笑ってなんか…
そういうセリナだって、その顔……」
「わ、私は何も……」
そう言ったセリナが噴き出し、それをきっかけにエリオットが…そしてラスターまでもが笑い始めた。
笑い転げる三人の傍らで、ダルシャは不機嫌な顔をして笑いがおさまるのを待ち続けた。
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