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四つ目の大陸
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「……そういえば…」
「何?どうかしたの?」
「あの件ですっかり忘れてたけど…ダルシャは商売女の言うことを信じてディーラスに行こうとしてただろ?
占い師がディーラスに石があるって言ったとかで……でも、あんなことがあったから、完全に出遅れたよな。
もしその話が本当だったとしても、今からだったら、もう絶対に間に合わない。」
「あ……そうだったわね!
私、すっかりそのことを忘れてたわ。」
セリナは、本来の目的を思い出し大きく頷いた。
「俺も、今、願い石の話をするまですっかり忘れてた。
でも……もしも、その話が本当だったとしたら、俺がそのチャンスを潰したようなもんだな…」
ジャックはそう言うと、目を伏せて俯いた。
「そんなことないわ!
ジャック、あなた、諦めが良過ぎるわよ。
確か、あの時は占い師が発ってからまだ三日しか経ってないってことだったわよね。
今回のことでずいぶん遅れてしまったことは事実だけど、その人は路銀がないって話だったからディーラスまで四週間はかかるのよね?
だったら、馬車で行けばチャンスはある筈よ!
馬車はディーラスまでは走ってないそうだけど…」
「ヘイレンって町まであるんじゃなかったか?」
「そう!そうだったわね。
…だから、今から追いかければ追い付けないことはないわ、きっと…
……あ……これはチャンスなんだわ!」
「……チャンス?」
セリナは、その理由は答えず、ただジャックに向かってにこやかに微笑んだ。
「私、早速、ダルシャに話して来るわ。
きっと、ダルシャも忘れてると思うもの。
…さぁ、忙しくなるわよ!」
「あ……」
セリナは、ジャックの差し伸ばした腕にも気付かずに、そのまま部屋を飛び出した。
一人、部屋に残されたジャックは、セリナの突発的な行動の意味が理解出来ず、呆然と扉をみつめていた。
「何?どうかしたの?」
「あの件ですっかり忘れてたけど…ダルシャは商売女の言うことを信じてディーラスに行こうとしてただろ?
占い師がディーラスに石があるって言ったとかで……でも、あんなことがあったから、完全に出遅れたよな。
もしその話が本当だったとしても、今からだったら、もう絶対に間に合わない。」
「あ……そうだったわね!
私、すっかりそのことを忘れてたわ。」
セリナは、本来の目的を思い出し大きく頷いた。
「俺も、今、願い石の話をするまですっかり忘れてた。
でも……もしも、その話が本当だったとしたら、俺がそのチャンスを潰したようなもんだな…」
ジャックはそう言うと、目を伏せて俯いた。
「そんなことないわ!
ジャック、あなた、諦めが良過ぎるわよ。
確か、あの時は占い師が発ってからまだ三日しか経ってないってことだったわよね。
今回のことでずいぶん遅れてしまったことは事実だけど、その人は路銀がないって話だったからディーラスまで四週間はかかるのよね?
だったら、馬車で行けばチャンスはある筈よ!
馬車はディーラスまでは走ってないそうだけど…」
「ヘイレンって町まであるんじゃなかったか?」
「そう!そうだったわね。
…だから、今から追いかければ追い付けないことはないわ、きっと…
……あ……これはチャンスなんだわ!」
「……チャンス?」
セリナは、その理由は答えず、ただジャックに向かってにこやかに微笑んだ。
「私、早速、ダルシャに話して来るわ。
きっと、ダルシャも忘れてると思うもの。
…さぁ、忙しくなるわよ!」
「あ……」
セリナは、ジャックの差し伸ばした腕にも気付かずに、そのまま部屋を飛び出した。
一人、部屋に残されたジャックは、セリナの突発的な行動の意味が理解出来ず、呆然と扉をみつめていた。
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