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四つ目の大陸
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「やけに遅かったじゃないか。
何かあったのか?」
「何もないよ、ね、ジャック!?」
意味ありげに笑うエリオットに、ジャックは黙って頷いた。
「なんだ、なんだ、おかしな奴らだな。
めしはちゃんと食ってきたのか?
あ…俺さ、あと二~三日で退院出来るってさ。」
「そんなに早く!?」
エリオットは、目を丸くして驚く。
「あぁ、体調さえなんともなければ、あとは傷の問題だけだからな。
抜糸するまではしばらく通院することになるだろうけど、このまま体調が良くなればここにいる必要はないみたいだ。」
「良かった…!
……でも…傷跡は?」
「ジャック、俺は男だぜ。
傷跡が残ったってそうたいした問題じゃない。
諸肌脱いで見せた時に傷跡があったら、逆に強そうでかっこ良いじゃないか!」
「馬鹿なこと言うなよ!」
声を荒げるジャックの肩に、エリオットが優しく手を置いた。
「きっと、大丈夫だよ。
そんなに目立つ傷跡は残らないと思う。
なんなら、今、先生に聞いておいでよ。」
ジャックは頷き、そのまま部屋を飛び出した。
「……なんだ、あいつ…
一体、どうしたんだ?」
「フレイザー、ジャックは君のことをすごく大切に想ってるんだ。
もしかしたら彼には家族がいないのかもしれないね…そういうことは聞いた事ないの?」
「え……あ、あぁ、そういうことは話したことないな。
あいつ…自分のことは話したがらないから。」
「そう…機会があったら聞いてみなよ。
とにかく、君のことは本当の兄さんみたいに考えてるみたいだよ。
だから、傷のこともあんなに気にしてるんだよ。
それとね、誤解も解けたから。」
「誤解……?」
「うん…実はね…」
エリオットは、つい先程の出来事をフレイザーに話して聞かせた。
「ジャックに、あのことを話したっていうのか!?」
「だって…そうしないと、彼は君と僕のことを誤解したままだし…しかも、ちょっとおかしな風にも取ってるみたいだったから…」
「エリオット忘れたのか!?
シャルロッテさんもジャックには気を付けたほうが良いって言ってただろ?
そうでなくても、ジャックにはまだ得体の知れない部分が多いんだ。
そんなこと、なんで話したんだ!」
「酷いよ、フレイザー!
ジャックは、君のこと、あんなに慕ってるのに…!」
医師の所からジャックが戻って来た時、病室の中は険悪な雰囲気に包まれていた。
「やけに遅かったじゃないか。
何かあったのか?」
「何もないよ、ね、ジャック!?」
意味ありげに笑うエリオットに、ジャックは黙って頷いた。
「なんだ、なんだ、おかしな奴らだな。
めしはちゃんと食ってきたのか?
あ…俺さ、あと二~三日で退院出来るってさ。」
「そんなに早く!?」
エリオットは、目を丸くして驚く。
「あぁ、体調さえなんともなければ、あとは傷の問題だけだからな。
抜糸するまではしばらく通院することになるだろうけど、このまま体調が良くなればここにいる必要はないみたいだ。」
「良かった…!
……でも…傷跡は?」
「ジャック、俺は男だぜ。
傷跡が残ったってそうたいした問題じゃない。
諸肌脱いで見せた時に傷跡があったら、逆に強そうでかっこ良いじゃないか!」
「馬鹿なこと言うなよ!」
声を荒げるジャックの肩に、エリオットが優しく手を置いた。
「きっと、大丈夫だよ。
そんなに目立つ傷跡は残らないと思う。
なんなら、今、先生に聞いておいでよ。」
ジャックは頷き、そのまま部屋を飛び出した。
「……なんだ、あいつ…
一体、どうしたんだ?」
「フレイザー、ジャックは君のことをすごく大切に想ってるんだ。
もしかしたら彼には家族がいないのかもしれないね…そういうことは聞いた事ないの?」
「え……あ、あぁ、そういうことは話したことないな。
あいつ…自分のことは話したがらないから。」
「そう…機会があったら聞いてみなよ。
とにかく、君のことは本当の兄さんみたいに考えてるみたいだよ。
だから、傷のこともあんなに気にしてるんだよ。
それとね、誤解も解けたから。」
「誤解……?」
「うん…実はね…」
エリオットは、つい先程の出来事をフレイザーに話して聞かせた。
「ジャックに、あのことを話したっていうのか!?」
「だって…そうしないと、彼は君と僕のことを誤解したままだし…しかも、ちょっとおかしな風にも取ってるみたいだったから…」
「エリオット忘れたのか!?
シャルロッテさんもジャックには気を付けたほうが良いって言ってただろ?
そうでなくても、ジャックにはまだ得体の知れない部分が多いんだ。
そんなこと、なんで話したんだ!」
「酷いよ、フレイザー!
ジャックは、君のこと、あんなに慕ってるのに…!」
医師の所からジャックが戻って来た時、病室の中は険悪な雰囲気に包まれていた。
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