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四つ目の大陸
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「それとね、フレイザー…」
「なんだい、エリオット姫!」
「フレイザー、茶化さないで真面目に聞いてよ!
……僕…酔った勢いで…ラスターにあのことを話しちゃったんだ…」
「あのことって……まさか、エリオット…」
エリオットは深く頷いたまま、頭を上げなかった。
「なんでそんなこと……!」
「仕方なかったんだよ!
僕、酔ってたし……それに、ラスターが君を傷付けた責任をとって仲間からはずれるなんて言うから…」
「ラスターがそんなことを…
そうか……なんだか、俺が怪我したせいで、おまえにまで辛い思いをさせてしまったな。
ごめんな、エリオット…」
フレイザーは、エリオットの肩をそっと抱き寄せた。
「ば、馬鹿!
なにするんだよ!
僕は君が思ってる程やわじゃないよ。」
「無理すんなよ、エリオット。
この世界でお互いの秘密を知ってるのは俺達だけだろ。
俺に何が出来るかはわからないけど、俺、おまえのためならなんでもするから!
な、辛い事があったらなんでも話してくれよ。」
その言葉に、エリオットの瞳に熱い涙がこみ上げる。
「俺、絶対におまえを元に戻すから…
そして、二人で一緒に元の世界に帰ろうな!」
「フレイザー…」
ちょうどその時、食事をした後することがなく、仕方なく病室に戻ったジャックが扉を開けた。
「あ……!」
ジャックを見て、フレイザーの傍から飛び退いたエリオットが、慌てて涙を拭う。
「あ…あぁ、ジャック…早かったな。
宿には行かなかったのか?」
フレイザーは無理な笑いを浮かべながら、平静を装った。
「……どうやら、俺が帰って来たのはお邪魔だったみたいだな…」
ジャックのその言葉は、棘を含んだものだった。
「バ、馬鹿だなぁ…
おまえ、何かおかしな誤解をしてるみたいだな。
俺達は何も…なぁ、エリオット!」
エリオットは、小刻みに何度も頷いた。
「何も言い訳なんてする必要ないだろ。
あんたが誰といちゃつこうがそんなことは俺には関係ない。
あんたらのことは前からわかってた。
ただ……邪魔なら邪魔だって言ってほしかっただけだ!」
「違うよ!
僕達は何もそんなこと……」
だが、ジャックはエリオットが話しきらないうちに病室から出て行った。
「なんだい、エリオット姫!」
「フレイザー、茶化さないで真面目に聞いてよ!
……僕…酔った勢いで…ラスターにあのことを話しちゃったんだ…」
「あのことって……まさか、エリオット…」
エリオットは深く頷いたまま、頭を上げなかった。
「なんでそんなこと……!」
「仕方なかったんだよ!
僕、酔ってたし……それに、ラスターが君を傷付けた責任をとって仲間からはずれるなんて言うから…」
「ラスターがそんなことを…
そうか……なんだか、俺が怪我したせいで、おまえにまで辛い思いをさせてしまったな。
ごめんな、エリオット…」
フレイザーは、エリオットの肩をそっと抱き寄せた。
「ば、馬鹿!
なにするんだよ!
僕は君が思ってる程やわじゃないよ。」
「無理すんなよ、エリオット。
この世界でお互いの秘密を知ってるのは俺達だけだろ。
俺に何が出来るかはわからないけど、俺、おまえのためならなんでもするから!
な、辛い事があったらなんでも話してくれよ。」
その言葉に、エリオットの瞳に熱い涙がこみ上げる。
「俺、絶対におまえを元に戻すから…
そして、二人で一緒に元の世界に帰ろうな!」
「フレイザー…」
ちょうどその時、食事をした後することがなく、仕方なく病室に戻ったジャックが扉を開けた。
「あ……!」
ジャックを見て、フレイザーの傍から飛び退いたエリオットが、慌てて涙を拭う。
「あ…あぁ、ジャック…早かったな。
宿には行かなかったのか?」
フレイザーは無理な笑いを浮かべながら、平静を装った。
「……どうやら、俺が帰って来たのはお邪魔だったみたいだな…」
ジャックのその言葉は、棘を含んだものだった。
「バ、馬鹿だなぁ…
おまえ、何かおかしな誤解をしてるみたいだな。
俺達は何も…なぁ、エリオット!」
エリオットは、小刻みに何度も頷いた。
「何も言い訳なんてする必要ないだろ。
あんたが誰といちゃつこうがそんなことは俺には関係ない。
あんたらのことは前からわかってた。
ただ……邪魔なら邪魔だって言ってほしかっただけだ!」
「違うよ!
僕達は何もそんなこと……」
だが、ジャックはエリオットが話しきらないうちに病室から出て行った。
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