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四つ目の大陸
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「……ラスター、どうかしたの?」
「……どうして……
どうして、おまえらはそんな風に他人の言うことをすぐに信じるんだ?
どうして、そんな風に関わった人間を助けようとする?」
「どうして…って……」
エリオットは、何かを考えるように赤いワインの半分残ったグラスを手に持ち何度か揺らし、やがてそれをゆっくりと飲み干した。
「……ラスターは、そういう人に出会ったら力になりたいと思わない?」
「思わないな。
もし、それが親しい奴なら思うかもしれないが、関係ない奴なら絶対にそんなこと思わない!
他人なんざどうなろうが俺には関係ないからな。
しかも、セリナをかどわかすような悪党……力になるどころか、俺は絶対に許せねぇ!」
息巻くラスターとは裏腹に、エリオットはもの静かな声で問い返した。
「……ラスターは、悪い事をした人を絶対に許すことが出来ないの?
もしも、その人になにか事情があったり、やってしまったことをその人が心から悪いと思ったとしても…?」
「え……?」
「……ラスター、思い出して。
セリナは、お母さんを置いて自分だけ逃げたことをすごく苦しんでたよね…
だけど、あれは仕方なかったことだと思わない?
僕、セリナが悪いわけじゃないと思うんだけど、違うかな?
……皆が皆とは言わないけど、悪い事をしてしまった人にはそれぞれにきっといろんな事情があって…その中にはどうしようもない事だってあるんじゃないかって思うんだ。」
そう話すエリオットの横顔は、どこかとても苦しげだった。
ラスターの瞳は、答える言葉に戸惑うように宙を泳ぐ。
「……どうして……
どうして、おまえらはそんな風に他人の言うことをすぐに信じるんだ?
どうして、そんな風に関わった人間を助けようとする?」
「どうして…って……」
エリオットは、何かを考えるように赤いワインの半分残ったグラスを手に持ち何度か揺らし、やがてそれをゆっくりと飲み干した。
「……ラスターは、そういう人に出会ったら力になりたいと思わない?」
「思わないな。
もし、それが親しい奴なら思うかもしれないが、関係ない奴なら絶対にそんなこと思わない!
他人なんざどうなろうが俺には関係ないからな。
しかも、セリナをかどわかすような悪党……力になるどころか、俺は絶対に許せねぇ!」
息巻くラスターとは裏腹に、エリオットはもの静かな声で問い返した。
「……ラスターは、悪い事をした人を絶対に許すことが出来ないの?
もしも、その人になにか事情があったり、やってしまったことをその人が心から悪いと思ったとしても…?」
「え……?」
「……ラスター、思い出して。
セリナは、お母さんを置いて自分だけ逃げたことをすごく苦しんでたよね…
だけど、あれは仕方なかったことだと思わない?
僕、セリナが悪いわけじゃないと思うんだけど、違うかな?
……皆が皆とは言わないけど、悪い事をしてしまった人にはそれぞれにきっといろんな事情があって…その中にはどうしようもない事だってあるんじゃないかって思うんだ。」
そう話すエリオットの横顔は、どこかとても苦しげだった。
ラスターの瞳は、答える言葉に戸惑うように宙を泳ぐ。
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