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四つ目の大陸
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「ねえ、ラスター、ちょっとお酒でも飲まない?」
エリオットは、ワインのボトルをテーブルの上に置くと、器用にコルクをこじ開ける。
ラスターは、夕食の料理にはほとんど手を着けなかった。
エリオットが話しかけても気の抜けたようないいかげんな返事を返すだけだった。
「……気遣ってくれてるのか?」
「別にそんなんじゃないよ。
今夜は、なんとなく飲みたいと思っただけ。」
ラスターは、その言葉に失笑する。
「よく言うぜ。
おまえ、酒なんか飲めないくせに…」
「それがそうでもないんだ。
僕、お酒は嫌いじゃないし、飲んだらけっこう飲めるってわかったんだ。」
エリオットは楽しそうに微笑みながら、グラスにワインを注ぎ、その一つをラスターの前に差し出した。
「さ、ラスター…」
ラスターは、受け取ったワインを一気に飲み干す。
「ラスター…ワインはもっと味わって飲まなきゃもったいないよ。」
「エリオット、こういう時はどうせならもっときつい酒を持って来るんだ。
ワインなんて上品な酒はいくらのんだって酔いやしねぇ。」
悪態を吐きながら、ラスターは空になったグラスにワインを注ぎこんだ。
「そうでもないよ。
ワインだってけっこう酔うよ。
もっとゆっくり飲もうよ。」
エリオットが声をかけている間にも、ラスターはグラスのワインを飲み干し、ついには瓶に口を着けてあおり始めた。
「あぁぁ……」
「おい、エリオット。
こんな少しじゃ足りないぞ。
もっとたくさんもってこいよ!
あ、ワインはだめだぜ。
そうだな……このあたりの地酒がないか聞いてみてくれよ!
思いっきり酔える奴が良いな!」
ラスターはそう言うと、再び、ワインの瓶を高く傾けた。
(今夜は荒れそうだなぁ……)
口の端からこぼれたワインを拭うラスターをみつめながら、エリオットは心の中でこれから始まる今夜の宴を憂い、渋々、酒を探しに出掛けた。
「ねえ、ラスター、ちょっとお酒でも飲まない?」
エリオットは、ワインのボトルをテーブルの上に置くと、器用にコルクをこじ開ける。
ラスターは、夕食の料理にはほとんど手を着けなかった。
エリオットが話しかけても気の抜けたようないいかげんな返事を返すだけだった。
「……気遣ってくれてるのか?」
「別にそんなんじゃないよ。
今夜は、なんとなく飲みたいと思っただけ。」
ラスターは、その言葉に失笑する。
「よく言うぜ。
おまえ、酒なんか飲めないくせに…」
「それがそうでもないんだ。
僕、お酒は嫌いじゃないし、飲んだらけっこう飲めるってわかったんだ。」
エリオットは楽しそうに微笑みながら、グラスにワインを注ぎ、その一つをラスターの前に差し出した。
「さ、ラスター…」
ラスターは、受け取ったワインを一気に飲み干す。
「ラスター…ワインはもっと味わって飲まなきゃもったいないよ。」
「エリオット、こういう時はどうせならもっときつい酒を持って来るんだ。
ワインなんて上品な酒はいくらのんだって酔いやしねぇ。」
悪態を吐きながら、ラスターは空になったグラスにワインを注ぎこんだ。
「そうでもないよ。
ワインだってけっこう酔うよ。
もっとゆっくり飲もうよ。」
エリオットが声をかけている間にも、ラスターはグラスのワインを飲み干し、ついには瓶に口を着けてあおり始めた。
「あぁぁ……」
「おい、エリオット。
こんな少しじゃ足りないぞ。
もっとたくさんもってこいよ!
あ、ワインはだめだぜ。
そうだな……このあたりの地酒がないか聞いてみてくれよ!
思いっきり酔える奴が良いな!」
ラスターはそう言うと、再び、ワインの瓶を高く傾けた。
(今夜は荒れそうだなぁ……)
口の端からこぼれたワインを拭うラスターをみつめながら、エリオットは心の中でこれから始まる今夜の宴を憂い、渋々、酒を探しに出掛けた。
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