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四つ目の大陸
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「ラスター、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だって言ってるだろ!」
夜になると、セリナとエリオットに付き添われたラスターが食堂に現れた。
ラスターは、ジャックを不機嫌な顔で一瞥し、黙って食卓に着く。
「ダルシャはどうしたんだ?」
「あぁ、ダルシャなら酒場だ。
あの調子ならまた朝まで戻って来ないかもしれないな。」
「チェッ、あの女たらしが…!」
ラスターは眉間に皺を寄せ、さらに不機嫌さを増した表情を浮かべる。
「ま、ダルシャのことはどうだって良いじゃない。
ラスターも思ったより早く元気になって良かったわ。」
「そうだね。
あ、来た、来た!
お腹すいたね、早く食べよう!」
セリナとエリオットがその場を和ませるために気を遣い、わざと明るい声を出しているのがフレイザーやジャックにもよくわかった。
「ねぇ、皆、ジャーマシーは初めてなんだよね?
ジャックは?ジャックもここは初めて?」
「あぁ、俺もジャーマシーは初めてだ。」
「……だろうな。
おまえがどこの出身かは知らないが、あちこちを旅出来るほど金持ちには見えないからな。」
ラスターの挑発的な言葉に、その場にはいやな緊張が走った。
「あちこち旅が出来るのなんて、ごく一部のお金持ちだけだわ。
ダルシャみたいな、ね。」
「そうだよ、僕達だって多分今まで船に乗ったことなんてなかったんだもの。
ダルシャがいなかったら、あのままずっとイグラシアにいたと思うよ。
……あ、そういえば、ジャックはどこの出身なの?」
何気ないエリオットの問いかけに、ジャックは食事の手を止め、俯いた。
「……なるほど。
素性は秘密ってことか。
しかも、食事中もその鬱陶しいフードははずさねぇ…
……まともな奴じゃないってことは確かだな。
どっかで人でも殺して来たか?」
「ラスター!!いいかげんにしろ!
ジャック、行くぞ!」
立ち上がったフレイザーは、ラスターを睨みつけるとジャックの手を取った。
ラスターの人を馬鹿にしたような高い笑い声を背中に受けながら、ジャックとフレイザーは食堂を後にした。
「ラスター、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だって言ってるだろ!」
夜になると、セリナとエリオットに付き添われたラスターが食堂に現れた。
ラスターは、ジャックを不機嫌な顔で一瞥し、黙って食卓に着く。
「ダルシャはどうしたんだ?」
「あぁ、ダルシャなら酒場だ。
あの調子ならまた朝まで戻って来ないかもしれないな。」
「チェッ、あの女たらしが…!」
ラスターは眉間に皺を寄せ、さらに不機嫌さを増した表情を浮かべる。
「ま、ダルシャのことはどうだって良いじゃない。
ラスターも思ったより早く元気になって良かったわ。」
「そうだね。
あ、来た、来た!
お腹すいたね、早く食べよう!」
セリナとエリオットがその場を和ませるために気を遣い、わざと明るい声を出しているのがフレイザーやジャックにもよくわかった。
「ねぇ、皆、ジャーマシーは初めてなんだよね?
ジャックは?ジャックもここは初めて?」
「あぁ、俺もジャーマシーは初めてだ。」
「……だろうな。
おまえがどこの出身かは知らないが、あちこちを旅出来るほど金持ちには見えないからな。」
ラスターの挑発的な言葉に、その場にはいやな緊張が走った。
「あちこち旅が出来るのなんて、ごく一部のお金持ちだけだわ。
ダルシャみたいな、ね。」
「そうだよ、僕達だって多分今まで船に乗ったことなんてなかったんだもの。
ダルシャがいなかったら、あのままずっとイグラシアにいたと思うよ。
……あ、そういえば、ジャックはどこの出身なの?」
何気ないエリオットの問いかけに、ジャックは食事の手を止め、俯いた。
「……なるほど。
素性は秘密ってことか。
しかも、食事中もその鬱陶しいフードははずさねぇ…
……まともな奴じゃないってことは確かだな。
どっかで人でも殺して来たか?」
「ラスター!!いいかげんにしろ!
ジャック、行くぞ!」
立ち上がったフレイザーは、ラスターを睨みつけるとジャックの手を取った。
ラスターの人を馬鹿にしたような高い笑い声を背中に受けながら、ジャックとフレイザーは食堂を後にした。
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