253 / 802
再会
36
しおりを挟む
*
「さぁて、どうするかな…」
ラスターは、威嚇するようにジャックの周りをゆっくりと歩き回る。
それに対し、ジャックは、顔を伏せたまま何も言わなかった。
ダルシャ達がゾラーシュに着いたのは、夜も更けた頃だった。
宿屋で話を聞いた一行は、すぐさまオスカーの家を訪ねた。
「……ジャックにはきっとなにか深い悩みがあって、そのために願い石が必要なんだと思うわ。
詳しいことはわからないけど、私は、彼も一緒に連れて行ってあげたいと思ってるの…」
「セリナ…本当に良いのか?
ジャックのやったことを本当に許してくれるのか?」
セリナは、フレイザーに向かって深く頷く。
「彼は時々胸が痛くなりそうな程、寂しい顔をするの。
彼にはきっと何か事情があるんだと思うわ。
今はまだそれがどんなことなのかわからないけど…きっと大変なことで……そう考えると、私は、彼のことをこのまま放ってはおけないの。
ダルシャ、お願い!
どうか、ジャックを一緒に連れて行ってあげて!」
セリナの熱のこもった言葉に、ダルシャは思わず苦い笑みを浮かべる。
「君達には困ったもんだな。
よくもまぁこれだけお人良しが揃ったもんだ。
彼が、おかしな奴らと通じていないのなら、私は特に反対するつもりはない。
だからといって、私はまだジャックのことを完全に信用したわけではないぞ。
もしも、今後すこしでも彼がおかしな真似をするようなら容赦はしない。
……フレイザー、君はどうだ?
君は、彼の面倒がみられるのか?」
「あぁ!そのことなら保証する!
今回のことについてはよ~く話してみるし、二度とこんな真似はさせない!」
「ダルシャ、僕も協力するよ。
僕もこの前みたいにセリナから離れることはしないから…」
すがるような想いを込めた六つの瞳に、ダルシャは失笑する。
「……わかったよ。
ジャックのことは君達に任せたからな…」
エリオットとセリナが手を合わせて喜んでいる所へ、ラスターのものらしき怒声が響いた。
「どうしたのかしら?」
四人は、声の元へ急いだ。
「さぁて、どうするかな…」
ラスターは、威嚇するようにジャックの周りをゆっくりと歩き回る。
それに対し、ジャックは、顔を伏せたまま何も言わなかった。
ダルシャ達がゾラーシュに着いたのは、夜も更けた頃だった。
宿屋で話を聞いた一行は、すぐさまオスカーの家を訪ねた。
「……ジャックにはきっとなにか深い悩みがあって、そのために願い石が必要なんだと思うわ。
詳しいことはわからないけど、私は、彼も一緒に連れて行ってあげたいと思ってるの…」
「セリナ…本当に良いのか?
ジャックのやったことを本当に許してくれるのか?」
セリナは、フレイザーに向かって深く頷く。
「彼は時々胸が痛くなりそうな程、寂しい顔をするの。
彼にはきっと何か事情があるんだと思うわ。
今はまだそれがどんなことなのかわからないけど…きっと大変なことで……そう考えると、私は、彼のことをこのまま放ってはおけないの。
ダルシャ、お願い!
どうか、ジャックを一緒に連れて行ってあげて!」
セリナの熱のこもった言葉に、ダルシャは思わず苦い笑みを浮かべる。
「君達には困ったもんだな。
よくもまぁこれだけお人良しが揃ったもんだ。
彼が、おかしな奴らと通じていないのなら、私は特に反対するつもりはない。
だからといって、私はまだジャックのことを完全に信用したわけではないぞ。
もしも、今後すこしでも彼がおかしな真似をするようなら容赦はしない。
……フレイザー、君はどうだ?
君は、彼の面倒がみられるのか?」
「あぁ!そのことなら保証する!
今回のことについてはよ~く話してみるし、二度とこんな真似はさせない!」
「ダルシャ、僕も協力するよ。
僕もこの前みたいにセリナから離れることはしないから…」
すがるような想いを込めた六つの瞳に、ダルシャは失笑する。
「……わかったよ。
ジャックのことは君達に任せたからな…」
エリオットとセリナが手を合わせて喜んでいる所へ、ラスターのものらしき怒声が響いた。
「どうしたのかしら?」
四人は、声の元へ急いだ。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
妖精姫の夢想
@れんか
ファンタジー
公爵家として生まれたが、幼少期より外には出してもらえず異常な生活を送っていた。
与えられたのは本のみ。
全ての魔術書を若くして読破し、天才魔法使いとして人知れず育っていく。
公爵家の4人目の子供として生まれるも、誰も見たことがない為、本当にいるのかどうかも分からない存在な事から、公爵家の妖精姫と呼ばれるようになる。
妖精姫は大人になり、世界の危機を救うべく天才魔法使いとして無双していく物語。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
奪われたものは、もう返さなくていいです
gacchi
恋愛
幼い頃、母親が公爵の後妻となったことで公爵令嬢となったクラリス。正式な養女とはいえ、先妻の娘である義姉のジュディットとは立場が違うことは理解していた。そのため、言われるがままにジュディットのわがままを叶えていたが、学園に入学するようになって本当にこれが正しいのか悩み始めていた。そして、その頃、双子である第一王子アレクシスと第二王子ラファエルの妃選びが始まる。どちらが王太子になるかは、その妃次第と言われていたが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる