244 / 802
再会
27
しおりを挟む
倒れたセリナを見て、ジャックは一瞬ハッとしたような表情を浮かべ、決まり悪そうに顔を背けながらセリナの身体を起こした。
「すまなかった…」
「……大丈夫よ。」
セリナも、ジャックの方には顔を向けないまま小さな声でそう返す。
「……確か…願い石は大陸に一つしかないんだよな?
あんたが、ここの石を使ったっていうことは…ここにはもう願い石はないんだよな?」
セリナは、黙ったままで頷き、ジャックはそれを見て舌を打つ。
「あんた、金はもってんのか!?」
「いいえ。いつもダルシャが皆の必要なお金は払ってくれるし、私は小銭くらいしか持ってないわ。」
「……畜生!」
ジャックは、腹立たしげに拳で地面を叩きつける。
「ジャック…あなたは願い石を探してるんじゃないって言ったけど、それなら、なぜ私を…いえ、銀色の髪の女性を探してたの?」
「……俺の願いを叶えてくれるって思ったから…」
「あなたの願いを…?
でも、さっき、願い石を探してたわけじゃないって……一体、どういうことなの?」
ジャックは、セリナに背中を向け、小さな声で呟いた。
「……船に乗る直前に、ある占い師に言われたんだ。
俺の願いを叶えてくれるのは、銀色の髪の人間だって。
そして、俺を救ってくれるのは……いや、なんでもない。」
ジャックは話しかけた何かを不意に打ち消し、そして一呼吸置いてまた言葉を続けた。
「俺も最初はそんなこと信じてなかった。
銀色の髪の人間なんて見た事がなかったからな。
そんな者がいるなんてこと信じられなかった。」
「……だけど、船の中でフレイザーと知り合って、そして私のことを聞いたのね?」
「そうだ。
びっくりしたよ。
俺は、今まで旅の途中で誰かと親しくなるようなことなんて一度もなかった。
必要なこと以外は、ほとんど話すことさえなかった。
なのに、フレイザーは船酔いしてる俺にとても親切にしてくれて…
その上、銀色の髪の仲間がいるなんて言うんだからな。
それを聞いたら、急にあの占い師の言った言葉が信じられるような気がして来たんだ。
だとしたら、その仲間が俺の願いを叶えてくれるんじゃないかって…」
ジャックは、記憶を辿るようにゆっくりとそう話した。
「すまなかった…」
「……大丈夫よ。」
セリナも、ジャックの方には顔を向けないまま小さな声でそう返す。
「……確か…願い石は大陸に一つしかないんだよな?
あんたが、ここの石を使ったっていうことは…ここにはもう願い石はないんだよな?」
セリナは、黙ったままで頷き、ジャックはそれを見て舌を打つ。
「あんた、金はもってんのか!?」
「いいえ。いつもダルシャが皆の必要なお金は払ってくれるし、私は小銭くらいしか持ってないわ。」
「……畜生!」
ジャックは、腹立たしげに拳で地面を叩きつける。
「ジャック…あなたは願い石を探してるんじゃないって言ったけど、それなら、なぜ私を…いえ、銀色の髪の女性を探してたの?」
「……俺の願いを叶えてくれるって思ったから…」
「あなたの願いを…?
でも、さっき、願い石を探してたわけじゃないって……一体、どういうことなの?」
ジャックは、セリナに背中を向け、小さな声で呟いた。
「……船に乗る直前に、ある占い師に言われたんだ。
俺の願いを叶えてくれるのは、銀色の髪の人間だって。
そして、俺を救ってくれるのは……いや、なんでもない。」
ジャックは話しかけた何かを不意に打ち消し、そして一呼吸置いてまた言葉を続けた。
「俺も最初はそんなこと信じてなかった。
銀色の髪の人間なんて見た事がなかったからな。
そんな者がいるなんてこと信じられなかった。」
「……だけど、船の中でフレイザーと知り合って、そして私のことを聞いたのね?」
「そうだ。
びっくりしたよ。
俺は、今まで旅の途中で誰かと親しくなるようなことなんて一度もなかった。
必要なこと以外は、ほとんど話すことさえなかった。
なのに、フレイザーは船酔いしてる俺にとても親切にしてくれて…
その上、銀色の髪の仲間がいるなんて言うんだからな。
それを聞いたら、急にあの占い師の言った言葉が信じられるような気がして来たんだ。
だとしたら、その仲間が俺の願いを叶えてくれるんじゃないかって…」
ジャックは、記憶を辿るようにゆっくりとそう話した。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる