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再会
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「悪いがしばらくは野宿してもらうぜ。
それと、用心のため夜は縛らせてもらう。」
そう言うと、ジャックはセリナの腕を後手に縛り、その片端を自分の腰に結びつける。
セリナはそれに抗うこともせず、されるがままになっていた。
「好きにすれば良いわ。
……そんなことよりあなた…フレイザーのお友達のジャックって人じゃないの!?」
「どうしてわかった?」
「フレイザーやエリオットからあなたのことはいろいろと聞いてたから。」
ジャックは、その言葉には何も返さず、黙ったままでセリナに背を向け横になる。
「ジャック…あなたは私に…いえ、銀色の髪にすごく興味を持ってたらしいけど…
どうしてなの?」
ジャックは相変わらず何も答えない。
「……もしかして…願い石を探しているの?」
「願い石…!?
願い石って伝説のあの願い石のことなのか?」
ジャックはいきなり起き上がり、セリナの方に振り向いた。
「……違うの?
私が石の巫女だって知って、それで私に会いたがってたんじゃないの?」
「石の巫女…!
それじゃあ、あんたは石の巫女だっていうのか!」
ジャックの驚きようは尋常なものではなかった。
とても芝居をしているようには見えないその様子に、セリナは自分の推測が的外れだったことを知る。
「それじゃあ…あなたはなぜ…」
「……そうか…
そういうことだったのか…でも、そんな物が…」
困惑した表情を浮かべるセリナの前で、ジャックはセリナよりも更に戸惑っているような声で呟いた。
「じゃ、じゃあ、本当にこの世に願い石なんて物があるんだな!
あんたがそれを知ってるんだな!?
教えてくれ!どこにあるんだ!?」
ジャックは、興奮したようにセリナに詰め寄り、その肩を揺さぶった。
「確かに願い石は存在するわ…それに、石の巫女は願い石の在り処を感じる事が出来るけど、それはある程度近くにないとだめなの。
遠くからどこにあるのかがわかるっていうもんじゃないのよ。」
「そうなのか…それで、このあたりに願い石はあるのか?」
セリナは黙ったままで首を振る。
「残念だけどこの大陸に願い石はもうないわ。」
「どうしてそんなことがわかる?
近くにないとわからないって言ったじゃないか!」
「この大陸の願い石は…私が使ってしまったから…」
「な、なんだって…!」
ジャックは唇を噛み締め、力を込めてセリナの頬を打ち、セリナはそのまま横倒しに倒れ込んだ。
「悪いがしばらくは野宿してもらうぜ。
それと、用心のため夜は縛らせてもらう。」
そう言うと、ジャックはセリナの腕を後手に縛り、その片端を自分の腰に結びつける。
セリナはそれに抗うこともせず、されるがままになっていた。
「好きにすれば良いわ。
……そんなことよりあなた…フレイザーのお友達のジャックって人じゃないの!?」
「どうしてわかった?」
「フレイザーやエリオットからあなたのことはいろいろと聞いてたから。」
ジャックは、その言葉には何も返さず、黙ったままでセリナに背を向け横になる。
「ジャック…あなたは私に…いえ、銀色の髪にすごく興味を持ってたらしいけど…
どうしてなの?」
ジャックは相変わらず何も答えない。
「……もしかして…願い石を探しているの?」
「願い石…!?
願い石って伝説のあの願い石のことなのか?」
ジャックはいきなり起き上がり、セリナの方に振り向いた。
「……違うの?
私が石の巫女だって知って、それで私に会いたがってたんじゃないの?」
「石の巫女…!
それじゃあ、あんたは石の巫女だっていうのか!」
ジャックの驚きようは尋常なものではなかった。
とても芝居をしているようには見えないその様子に、セリナは自分の推測が的外れだったことを知る。
「それじゃあ…あなたはなぜ…」
「……そうか…
そういうことだったのか…でも、そんな物が…」
困惑した表情を浮かべるセリナの前で、ジャックはセリナよりも更に戸惑っているような声で呟いた。
「じゃ、じゃあ、本当にこの世に願い石なんて物があるんだな!
あんたがそれを知ってるんだな!?
教えてくれ!どこにあるんだ!?」
ジャックは、興奮したようにセリナに詰め寄り、その肩を揺さぶった。
「確かに願い石は存在するわ…それに、石の巫女は願い石の在り処を感じる事が出来るけど、それはある程度近くにないとだめなの。
遠くからどこにあるのかがわかるっていうもんじゃないのよ。」
「そうなのか…それで、このあたりに願い石はあるのか?」
セリナは黙ったままで首を振る。
「残念だけどこの大陸に願い石はもうないわ。」
「どうしてそんなことがわかる?
近くにないとわからないって言ったじゃないか!」
「この大陸の願い石は…私が使ってしまったから…」
「な、なんだって…!」
ジャックは唇を噛み締め、力を込めてセリナの頬を打ち、セリナはそのまま横倒しに倒れ込んだ。
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※この小説はフィクションです。実在の国や人物、団体などとは関係ありません。
※2020-01-16より執筆開始。
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