夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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 「なんだ、ラスター?
さっきから、あくびばっかりしてるな。
 昨夜はよく眠れなかったのか?」

 「……なんでもないよ。」

フレイザーとラスターのやりとりを見ながら、セリナが俯き小さく笑う。



 「どうしたの?
セリナ、何、笑ってるの?」

 「なんでもないのよ…」

エリオットにそう答えたセリナの瞳も、いつもより赤く充血していた。



 「あそこだな、あそこから船に乗って、一度乗り換えてジャーマシーに渡る。
 次の港へは近いらしいし、ジャーマシーへも三日の船旅だ。」

 「あぁ…また船かぁ…」

 船に弱いラスターは心底いやそうな声を出した。

 港に着き、次の出航の時間を見ると、あと二時間弱あることがわかった。



 「あそこに酒場がある。
 船が出るまであそこで時間を過ごそう。」

 「ラスター、一杯ひっかけて寝てしまったら良いんじゃないか?
ちょうど眠かったんだろ?」

 「そうだな…じゃ、そうするか…」

 男達が酒場へ向かおうとした時、セリナが声をかけた。



 「私達はこのあたりを散歩でもしてるわ。」

 「でも、出航までにはまだずいぶん時間があるぞ。
それに…」

 「セリナのことなら、僕がいるから大丈夫だって!
そう遠くへは行かないし…そのあたりにいるから。」

エリオットはそう言いながら、酒場の傍の小さな商店街を指差した。



 「そうか…とにかく、人気のない所へは行くんじゃないぞ。」

 「大丈夫よ。」

 三人と別れたセリナとエリオットは、賑わいのない商店街をゆっくりと歩く。
 買い物はこの先の大きな港ですることになっていたため、真剣に見ることもなかった。



 「ねぇ、セリナ、宿屋のおばあちゃんが言ってた港ってここのことだよね。
 昔はここももっと賑わってたんだろうね…
そういえば、セリナ…あの後もずっとおばあちゃんと話してたんだって?」

 「ええ…いろいろと面白いお話を聞かせていただいたのよ。」

 「へぇ…どんなお話?」

 「それがね…」

 二人がそんな会話をしている最中、小さな男の子が突然エリオットの傍に近寄り、袖をひっぱった。



 「なぁに?」

 「お姉ちゃんだけちょっと来てくれる?」

 「え?」

エリオットは戸惑い、意見を求めるようにセリナの顔を見た。
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