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再会
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*
「オスカーさん、長い間お世話になりました。」
「オスカーさん、本当にどうもありがとうございました。」
まだ夜の明けきらない薄紫の空の下で、ダルシャ達は口々にオスカーへの言葉を述べる。
「そっちの用事がすんだら、またいつでも遊びに来てくれ。
待ってるからな。」
お互いが手を振り、オスカーの家から離れて行く最中、ラスターが振り向き一際大きな声をはりあげた。
「おやじーーー!
必ずまた戻って来るからな!」
そう叫ぶと、ラスターは町に向かって駆け出した。
残された者達は、一瞬戸惑いながらも、ラスターの言葉に顔を見合わせにっこりと微笑む。
「……あの野郎……」
オスカーは、目尻に溜まった涙をそっと指で拭った。
*
「あれ~?
皆、どうしたんだ?こんな朝っぱらから。」
眠そうな顔をしたフレイザーが、扉の隙間から顔をのぞかせた。
「……フレイザー…結局、連れの者はみつからなかったのだろう…?」
「……まぁな。」
「そうか……さぁ、行くぞ!
すぐに準備してくれ。」
「えっ!?な、なんで?」
「話は後だ。さぁ、急ぐんだ。」
ダルシャの有無を言わさぬその口調に、フレイザーはまだぼんやりしながらもその指示に従った。
フレイザーが顔を洗い服を着替えると、扉の前にはすでにラスターがフレイザーの荷物を持って立っていた。
「さぁ、行くぞ!」
「行くって…どこへ?」
「良いから早く!」
眠気はなくなっていたものの、わけもわからないままに歩かされ……フレイザーはついにたまらなくなってダルシャに声をかけた。
「なぁ、ダルシャ、そんなに急いでどこへ行くんだよ。」
「次の町から馬車に乗る。」
「馬車ならゾラーシュからも出てるだろ?
なんでわざわざ…」
「良いから、良いから!
さ、頑張って歩くよ!」
誰からも詳しいことを聞けないまま、フレイザーは皆と一緒に歩き続けた。
「オスカーさん、長い間お世話になりました。」
「オスカーさん、本当にどうもありがとうございました。」
まだ夜の明けきらない薄紫の空の下で、ダルシャ達は口々にオスカーへの言葉を述べる。
「そっちの用事がすんだら、またいつでも遊びに来てくれ。
待ってるからな。」
お互いが手を振り、オスカーの家から離れて行く最中、ラスターが振り向き一際大きな声をはりあげた。
「おやじーーー!
必ずまた戻って来るからな!」
そう叫ぶと、ラスターは町に向かって駆け出した。
残された者達は、一瞬戸惑いながらも、ラスターの言葉に顔を見合わせにっこりと微笑む。
「……あの野郎……」
オスカーは、目尻に溜まった涙をそっと指で拭った。
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「あれ~?
皆、どうしたんだ?こんな朝っぱらから。」
眠そうな顔をしたフレイザーが、扉の隙間から顔をのぞかせた。
「……フレイザー…結局、連れの者はみつからなかったのだろう…?」
「……まぁな。」
「そうか……さぁ、行くぞ!
すぐに準備してくれ。」
「えっ!?な、なんで?」
「話は後だ。さぁ、急ぐんだ。」
ダルシャの有無を言わさぬその口調に、フレイザーはまだぼんやりしながらもその指示に従った。
フレイザーが顔を洗い服を着替えると、扉の前にはすでにラスターがフレイザーの荷物を持って立っていた。
「さぁ、行くぞ!」
「行くって…どこへ?」
「良いから早く!」
眠気はなくなっていたものの、わけもわからないままに歩かされ……フレイザーはついにたまらなくなってダルシャに声をかけた。
「なぁ、ダルシャ、そんなに急いでどこへ行くんだよ。」
「次の町から馬車に乗る。」
「馬車ならゾラーシュからも出てるだろ?
なんでわざわざ…」
「良いから、良いから!
さ、頑張って歩くよ!」
誰からも詳しいことを聞けないまま、フレイザーは皆と一緒に歩き続けた。
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