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再会
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いつも通りの和やかな夕食の席で、ダルシャが思いがけないことを口にした。
「急な話なのですが…オスカーさん、私達は明日ここを発とうと思います。」
その言葉に、その場にいた全員が目を丸くして驚いた。
「なんでだよ、ダルシャ!
なんで、そんなこと勝手に決めるんだよ!」
ラスターが立ち上がらんばかりの勢いで、声を荒げる。
「ラスター…フレイザーの連れの少年がセリナに異常な程関心を持っていたということは知ってるな?
その少年が昨日から急に姿を消したらしいのだ。
今、フレイザーが探しているが…おそらくみつからないと思う。」
「……それはどういうことなんだ?」
「おそらく…その少年は、巫女を探している一味の手下なのではないかと私は考えている。
手下とまではいかずとも、巫女の居所を教えれば何がしかの見返りがもえらえることになっているのではないかと思うのだ。
私と出会った時から急に姿を消したのは、きっと、私達の跡を尾行し、セリナを確認してそいつらの元へ報せに向かったのだと思う。」
「なんだって…!
……で、でも……確かにそう考えれば辻褄は合う…」
ダルシャが突然なぜそんなことを言い出したのかを、皆、理解し、部屋の中には張り詰めた空気が流れた。
「少年がどこまで報せに行ったのかはわからない。
もしかしたらもうすぐ傍まで来ているのかもしれない。
今夜は、念のため、私が起きているが、君達も十分注意しておいてくれ。」
ダルシャの話に、皆、緊張した面持ちで頷く。
その後の夕食はいつもとは違い、皆、口数も少なくただ黙々と食べ物を口に運ぶだけのものとなった。
食事が済むと、それぞれが僅かな荷物をまとめにかかる。
いつも通りの和やかな夕食の席で、ダルシャが思いがけないことを口にした。
「急な話なのですが…オスカーさん、私達は明日ここを発とうと思います。」
その言葉に、その場にいた全員が目を丸くして驚いた。
「なんでだよ、ダルシャ!
なんで、そんなこと勝手に決めるんだよ!」
ラスターが立ち上がらんばかりの勢いで、声を荒げる。
「ラスター…フレイザーの連れの少年がセリナに異常な程関心を持っていたということは知ってるな?
その少年が昨日から急に姿を消したらしいのだ。
今、フレイザーが探しているが…おそらくみつからないと思う。」
「……それはどういうことなんだ?」
「おそらく…その少年は、巫女を探している一味の手下なのではないかと私は考えている。
手下とまではいかずとも、巫女の居所を教えれば何がしかの見返りがもえらえることになっているのではないかと思うのだ。
私と出会った時から急に姿を消したのは、きっと、私達の跡を尾行し、セリナを確認してそいつらの元へ報せに向かったのだと思う。」
「なんだって…!
……で、でも……確かにそう考えれば辻褄は合う…」
ダルシャが突然なぜそんなことを言い出したのかを、皆、理解し、部屋の中には張り詰めた空気が流れた。
「少年がどこまで報せに行ったのかはわからない。
もしかしたらもうすぐ傍まで来ているのかもしれない。
今夜は、念のため、私が起きているが、君達も十分注意しておいてくれ。」
ダルシャの話に、皆、緊張した面持ちで頷く。
その後の夕食はいつもとは違い、皆、口数も少なくただ黙々と食べ物を口に運ぶだけのものとなった。
食事が済むと、それぞれが僅かな荷物をまとめにかかる。
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