夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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 「それは本当なのか!」

 次の朝、オスカーの家を訪ねたフレイザーが聞かされたセリナのニュースは、とても喜ばしいものだった。



 「でも、どうして願い石が…?」

セリナとダルシャは、オスカーのこと、オスカーの願い石のこと、ラスターのかけた願い、そして昨夜のことをかいつまんで話した。



 「えっ!まさか…あの人にそんな秘密が…
信じられない話だな…
それに、ラスターがそんなにエリオットのことを気に病んでたなんて…あ……」

フレイザーの言葉が急に途切れ、何か言いたげな視線でダルシャをみつめる。



 「……どうかしたのか?」

 「いや…なんでもないんだ。」

 「それより、エリオット…
おまえ、本当に良かったな。
おまえがもし死んでたら、ラスターもどれほど深い傷を負ってたかしれない。
……本当に良かったな…
俺もおまえが生きててくれて嬉しいよ。」

 「私もよ!」

ダルシャも微笑み、何度も頷く。



 「……ありがとう、皆……」

 今にも泣き出しそうな顔をするエリオットを、セリナが背中から抱きしめた。



 「私、皆に会えて良かった。
皆に会えたから、母さんも助かった…
ありがとう!
本当にありがとう!」

今度は、セリナが涙声になり、セリナとエリオットはお互いの身体を強く抱きあう。



 「ダルシャ…ちょっと良いかな?」

フレイザーは二人の目をかすめ、ダルシャを庭の方に連れ出した。



 *



 「どうかしたのか?」

 「実は、エリオットのことで少し相談があるんだ…」

フレイザーは、自分の話したことから、エリオットが三人のならず者達の死を知ってしまったことを話した。



 「なんだって!」

そう言ったっきり、ダルシャは俯き唇を噛み締めた。
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