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それぞれの旅立ち
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「ほら、エリオット、飲もうぜ。」
「え……?」
エリオットの真っ赤に泣きはらした目に映ったものは、赤いワインの瓶だった。
「おまえもちょっとくらいは飲んだことあるだろう?
ここには別に大人以外が酒を飲んじゃいけないって法律は無さそうだから、気にすることはないさ。
さ、飲もう!
……飲んでも忘れることなんて出来ないと思うけど…でも、少しは気が楽になるかと思ってな。」
エリオットは、フレイザーの気遣いにまた胸が熱くなり、溢れそうになる涙を懸命に堪える。
フレイザーは、テーブルにグラスを並べ、それぞれにワインを注ぎこんだ。
「ワインって綺麗な色してるんだな…」
フレイザーは、手に持ったグラスを窓の方に向けて目を細めた。
「……ここのワインは、すごくおいしいんだって。
……ダルシャがそう言ってたよ。」
「だろうな、外は葡萄畑ばっかりだもんな。
それにとても良い香りがする。
……じゃ、飲もうか。」
二人は顔を見合わせ頷き合うと、ワインを一口流しこむ。
「……フレイザー…
ワインって甘くないんだね…」
エリオットは、なんとも言えない複雑な表情で呟いた。
「……当たり前だ。
ジュースとは違うんだぞ。
でも、いやな味じゃないだろ?」
「う…うん。」
エリオットは、戸惑う様子を見せながらもさらにもう一口流しこんだ。
「エリオット…今回のことは辛いと思うけど…
でも、俺…出来る限りのことはするから。
たいしたことは出来ないかもしれないけど…でも、俺……」
「ありがとう、フレイザー…」
そう言うと、エリオットはグラスの中のワインを一気に飲み干し、さらになみなみと注ぎむ。
「おい、エリオット、ゆっくり飲めよ。」
「うん…わかってる。」
「……それで、落ちついてからで良いから、その時のことを教えてくれ。
その……なんで、そんなことになったのかを…」
「それなら、今、話すよ…」
エリオットは、意外にも冷静に、当時の様子をゆっくりと話し始めた。
「ほら、エリオット、飲もうぜ。」
「え……?」
エリオットの真っ赤に泣きはらした目に映ったものは、赤いワインの瓶だった。
「おまえもちょっとくらいは飲んだことあるだろう?
ここには別に大人以外が酒を飲んじゃいけないって法律は無さそうだから、気にすることはないさ。
さ、飲もう!
……飲んでも忘れることなんて出来ないと思うけど…でも、少しは気が楽になるかと思ってな。」
エリオットは、フレイザーの気遣いにまた胸が熱くなり、溢れそうになる涙を懸命に堪える。
フレイザーは、テーブルにグラスを並べ、それぞれにワインを注ぎこんだ。
「ワインって綺麗な色してるんだな…」
フレイザーは、手に持ったグラスを窓の方に向けて目を細めた。
「……ここのワインは、すごくおいしいんだって。
……ダルシャがそう言ってたよ。」
「だろうな、外は葡萄畑ばっかりだもんな。
それにとても良い香りがする。
……じゃ、飲もうか。」
二人は顔を見合わせ頷き合うと、ワインを一口流しこむ。
「……フレイザー…
ワインって甘くないんだね…」
エリオットは、なんとも言えない複雑な表情で呟いた。
「……当たり前だ。
ジュースとは違うんだぞ。
でも、いやな味じゃないだろ?」
「う…うん。」
エリオットは、戸惑う様子を見せながらもさらにもう一口流しこんだ。
「エリオット…今回のことは辛いと思うけど…
でも、俺…出来る限りのことはするから。
たいしたことは出来ないかもしれないけど…でも、俺……」
「ありがとう、フレイザー…」
そう言うと、エリオットはグラスの中のワインを一気に飲み干し、さらになみなみと注ぎむ。
「おい、エリオット、ゆっくり飲めよ。」
「うん…わかってる。」
「……それで、落ちついてからで良いから、その時のことを教えてくれ。
その……なんで、そんなことになったのかを…」
「それなら、今、話すよ…」
エリオットは、意外にも冷静に、当時の様子をゆっくりと話し始めた。
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