夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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それぞれの旅立ち

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「俺達は、その道は魔物が出るって聞いたから違う道の方から来たんだ。
でも、そのおかげでエリオットに会えた。
 運が良かったな。」

 「それは運じゃなくて、二人の愛の力じゃないか…?」

 「えっ!?そ…そんなこと…」

ジャックの冷やかしの言葉に、エリオットは真っ赤になって俯いた。



 「おい、おい、俺達はそんな…」

 「別に隠すことないだろ。
 俺にはそんなこと、どうだって良いことだ。」

 「……ジャック、一体、どうしたんだよ?
おまえ、ここんとこ、なんだかえらくつんけんしてないか?」

 「そんなことあるもんか!」

ジャックは、声を荒げ、顔を背けた。



 「ほら、それだ。
おまえはここんとこずっとそんな調子じゃないか。
 一体、何が気に食わないんだ!」

フレイザーはジャックの肩を掴み、身体の向きを元に直す。



 「……だ…だって……今度のことで、他の仲間に会うのがすごく遅くなったじゃないか。
 婆さんの家にも二日もいたし…」

ジャックは顔も上げず、小さな声で呟いた。



 「何言ってんだ。
エリオットは、シャルロッテさんの家に一月も世話になってたんだぞ。
 自分の孫みたいに可愛がってくれてたみたいだし…それでも、こんなに早く発ったのはおまえが早く旅立ちたいって言ったからじゃないか。
それに、仲間もエリオットを置いて先には行かないだろう。
きっと、まだ葡萄畑の近くにいるはずだ。」

 「……それはどうかな…
俺はきっともういないと思うぜ。
いなくなった仲間を一ヶ月も探してる奴なんていないさ。」

ジャックは、口許に皮肉な笑みを浮かべ、その顔がフレイザーを刺激した。



 「おまえは皆のことを知らないからそんなことを言うんだ!
 奴らはそんな薄情な奴じゃない。
 絶対にいるさ!」

 掴みかからんばかりの勢いで、フレイザーはジャックに向かってそう言い切った。



 「二人共、もうやめてよ。」

 二人の間に入ったエリオットが、フレイザーの身体を押し戻す。



 「ごめんね、ジャック。
 僕のせいでいやな想いをさせて…
 ……でも…ジャックはどうしてそんなに他の仲間に会いたがるの?」

ジャックはその質問には答えず、その代わりに小さな舌打ちを残すと、二人を置いて歩き始めた。



 「おい、ジャック!!」

 「いいから…!」

エリオットは、フレイザーを制し、ジャックの後について歩き始めた。

 
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