夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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それぞれの旅立ち

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 「ダルシャ…ラスター…」

 予想外に早く戻って来た二人の表情は暗く沈み、それを見たセリナは、それ以上言葉を発しなかった。
 二人の顔を見れば、エリオットの手掛かりがほんの少しでもみつかったかどうかは聞かなくてもわかるのだから。



あの日から約十日の時が過ぎていた。
 結局、魔物の山に入ってくれる者はみつからず、ダルシャの怪我の回復を待ってラスターと二人で山に入ったのだ。
 様々な人から魔物の山の恐ろしさを聞いた。
そのすべてが、山に入る事を止め、エリオットのことは諦めるように言った。
だが、三人はそれでもエリオットのことを諦める事は出来なかった。
 最悪な事態になっていたとしても、せめてその亡骸だけは持ち帰ってやりたいと、ダルシャは心の奥底で考えていた。
しかし、山で出くわした魔物の数は二人の想像の域を超え、エリオットの捜索をするどころではない。
キリなく出現する魔物達には自分達の身を守ること以外なすすべもなく、残念ながらダルシャとラスターは退却するしかなかった。



 「すまない、セリナ。
 予想以上に魔物数は多くてな…」

そう話すダルシャの上着やズポンには、魔物によって傷付けられたであろう傷があちこちに付いていた。



 「魔物の山の様子がわかっただけでも良かったじゃない…
とにかく、今日は、このまま町に戻りましょう。」

 「……無理だ……」

 「……ラスター?」

 「……あんな状況で、エリオットが生きてる可能性はありえない!
やっぱり、エリオットはとっくに…」

ラスターはそこまで言うと、唇を噛み締め、二人に背を向け黙り込む。
 口には出さずとも、その想いは二人も同じ…
その場に、気まずい沈黙が流れた…

このいやな沈黙をなんとかしたいと考えても、ダルシャにはその言葉がみつからず、もどかしい想いを抱えているうちに、セリナが思いがけないことを言い出した。

 
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