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それぞれの旅立ち
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*
「婆さん、いるかい!」
アンガスは扉を叩く事もせずいきなり開くと、遠慮することなくその中に入り込み、大きな声を上げた。
「婆さんじゃない!
シャルロッテだって、何度も言っとるじゃろ!」
威勢の良い返事をしながら奥から出て来たのは、小柄な白髪の老婆だった。
「すまん、すまん。
シャルロッテ、約束のもん、持って来たぜ。
それと……」
アンガスは、後ろに隠れるように立っていたエリオットをシャルロッテの前に押し出した。
「誰だい、この子は…」
「実はちょっとわけがあってな。
シャルロッテ、話を聞いてくれるかい?」
*
「……なるほど。
話はよくわかった。
じゃあ、記憶が戻るまで魔法の修行がてらここにおったらええ。」
シャルロッテは二人が気抜けする程簡単にそう言った。
二人としては、エリオットのこれからのことを相談するつもりでこれまでのいきさつを話したのだが、相談する暇も与えず、シャルロッテは結論を出してしまったのだ。
「えっ!本当に良いんですか!?」
「あぁ、構わん。
だが、わしは容赦はせんぞ。
びしびしこき使うからそのつもりでな!」
「は、はいっ!僕、頑張ります!」
エリオットは、緊張した表情で返事をする。
「シャルロッテ、本当に良いのか?
本当に、この子のことを面倒みてくれるのか?」
「あんたもしつこいね。
わしが良いと言ってるんだから、良いんだよ。
あんたよりはわしと一緒にいた方がこの子のためになるじゃろうしな。」
「恩に切るぜ、シャルロッテ!
……ところで、この子はやっぱり魔法使いだと思うか?」
シャルロッテはその問いに深く頷く。
「それは間違いないね。
それに……」
そう言ったままシャルロッテはエリオットの顔をじっとみつめ、エリオットはその視線の意味が理解出来ずに、不安な気持ちを募らせた。
「婆さん、いるかい!」
アンガスは扉を叩く事もせずいきなり開くと、遠慮することなくその中に入り込み、大きな声を上げた。
「婆さんじゃない!
シャルロッテだって、何度も言っとるじゃろ!」
威勢の良い返事をしながら奥から出て来たのは、小柄な白髪の老婆だった。
「すまん、すまん。
シャルロッテ、約束のもん、持って来たぜ。
それと……」
アンガスは、後ろに隠れるように立っていたエリオットをシャルロッテの前に押し出した。
「誰だい、この子は…」
「実はちょっとわけがあってな。
シャルロッテ、話を聞いてくれるかい?」
*
「……なるほど。
話はよくわかった。
じゃあ、記憶が戻るまで魔法の修行がてらここにおったらええ。」
シャルロッテは二人が気抜けする程簡単にそう言った。
二人としては、エリオットのこれからのことを相談するつもりでこれまでのいきさつを話したのだが、相談する暇も与えず、シャルロッテは結論を出してしまったのだ。
「えっ!本当に良いんですか!?」
「あぁ、構わん。
だが、わしは容赦はせんぞ。
びしびしこき使うからそのつもりでな!」
「は、はいっ!僕、頑張ります!」
エリオットは、緊張した表情で返事をする。
「シャルロッテ、本当に良いのか?
本当に、この子のことを面倒みてくれるのか?」
「あんたもしつこいね。
わしが良いと言ってるんだから、良いんだよ。
あんたよりはわしと一緒にいた方がこの子のためになるじゃろうしな。」
「恩に切るぜ、シャルロッテ!
……ところで、この子はやっぱり魔法使いだと思うか?」
シャルロッテはその問いに深く頷く。
「それは間違いないね。
それに……」
そう言ったままシャルロッテはエリオットの顔をじっとみつめ、エリオットはその視線の意味が理解出来ずに、不安な気持ちを募らせた。
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