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それぞれの旅立ち
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「やっぱり、地面が揺れないっていうのは良いもんだなぁ…」
フレイザーはそう言うと、空に向かって両手を思いっきり伸ばした。
「フレイザー、銀色の髪の子とはどこで落ち合うんだ?」
船を降りた安心感からか、ジャックはいつもよりどこか元気な声で尋ねた。
「あぁ…それなら、まだずいぶん先だ。」
「そこへは馬車で行くのか?」
「それが……言いにくいんだが、馬車賃がないから歩いて行こうと思ってる。」
その言葉に、ジャックの眉がぴくりと動く。
「……もしかしたら…俺のために個室を取ってくれたから…?」
「別におまえのせいじゃないさ。
そのおかげで俺も快適に旅が出来たんだから。」
「フレイザー……あ、これ、返しとくよ。」
ジャックは懐から小さな皮袋を取りだし、フレイザーの前に差し出した。
「それはおまえに…」
「一緒に旅するんだから、どっちが持ってても同じだろ?
俺は金の管理は苦手だから、あんたに任すよ。」
「……そうか、わかった。」
フレイザーは、素直に皮袋を受け取った。
「さて、まずは……」
フレイザーは、折り畳まれた地図を広げ、その上に目を落とす。
「今日中に、このヒッコリーって町まで行きたいもんだな。
少しあるけど……ジャック、体調はどうだ?」
「俺なら大丈夫だ。
早く、仲間の所へ行こうぜ!」
ジャックは、後ろも振り向かずさっさと歩き出した。
(……あいつ、そんなにセリナに会いたいのか?)
ジャックがそれほどセリナに会いたがる理由が何なのか、フレイザーには見当も付かなかった。
「やっぱり、地面が揺れないっていうのは良いもんだなぁ…」
フレイザーはそう言うと、空に向かって両手を思いっきり伸ばした。
「フレイザー、銀色の髪の子とはどこで落ち合うんだ?」
船を降りた安心感からか、ジャックはいつもよりどこか元気な声で尋ねた。
「あぁ…それなら、まだずいぶん先だ。」
「そこへは馬車で行くのか?」
「それが……言いにくいんだが、馬車賃がないから歩いて行こうと思ってる。」
その言葉に、ジャックの眉がぴくりと動く。
「……もしかしたら…俺のために個室を取ってくれたから…?」
「別におまえのせいじゃないさ。
そのおかげで俺も快適に旅が出来たんだから。」
「フレイザー……あ、これ、返しとくよ。」
ジャックは懐から小さな皮袋を取りだし、フレイザーの前に差し出した。
「それはおまえに…」
「一緒に旅するんだから、どっちが持ってても同じだろ?
俺は金の管理は苦手だから、あんたに任すよ。」
「……そうか、わかった。」
フレイザーは、素直に皮袋を受け取った。
「さて、まずは……」
フレイザーは、折り畳まれた地図を広げ、その上に目を落とす。
「今日中に、このヒッコリーって町まで行きたいもんだな。
少しあるけど……ジャック、体調はどうだ?」
「俺なら大丈夫だ。
早く、仲間の所へ行こうぜ!」
ジャックは、後ろも振り向かずさっさと歩き出した。
(……あいつ、そんなにセリナに会いたいのか?)
ジャックがそれほどセリナに会いたがる理由が何なのか、フレイザーには見当も付かなかった。
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