夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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それぞれの旅立ち

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 「エリオット!」

エリオットは、公園のベンチに腰を降ろし、ぼんやりと夕陽をみつめていた。



 「あ、ダルシャ…」

ダルシャは、振り向いたエリオットの横にゆっくりと腰を降ろす。



 「どこ行ってたの?
もしかしたらヒッコリーに行ってたの?」

 「……あぁ、そうだ。」

 言い当てられてしまった以上、嘘は却って良くないと考え、ダルシャは素直に頷いた。



 「ダルシャ、あいつらはどうだった?
 何かわかった?」

エリオットは、ダルシャに不安げな視線を向ける。
 昨日からエリオットがずっとそのことで胸を痛ませていたことは、ダルシャの思い過ごしではなかった。



 「あいつらなら無事だったよ。
 殺人の罪で捕まってどこかの町に送られたそうだ。」

 「そう…!良かった…!」

 良かったのは、彼らが捕まったことなのか、無事に生きていたためなのか、それはダルシャには判断がつかなかったが、とにかくエリオットにとって朗報だったことには間違いない。
エリオットの表情がぱっと明るく輝いた。



 「それと……あの女性もセリナの母親ではないと思う。
よく見ると、まだ随分若く、とてもセリナの母親という年ではなかったし、顔も全然似ていなかった。」

 「ダルシャ、あの人の遺体を見て来たの?」

 「あぁ…しっかりと見て来た。
……だから、間違いない。」

 「そっか…ダルシャがそう言うんだったら間違いないね!
 良かった!本当に良かった!
 僕、すごく気になってたんだ。
もし、あの人がセリナのお母さんだったらどうしようって気になって眠れなかったんだ…」

そう言って、エリオットは胸を撫で下ろす。



 「安心しろ。あの巫女はセリナとは無関係だ。
だが…このことはセリナには言うなよ。
 巫女が殺されたなんて話を聞いたら、それが自分の母親ではなくともやはり不安に感じるだろう?
だから…エリオット、あの日はなにもなかった。
 私達は、道で転んだだけなんだ。……良いな?」

 「そうだね…わかった。
そうするよ。」

 「では、そろそろ帰ろうか…
セリナが心配していたぞ。」

エリオットは、小さく微笑みながら、ダルシャに向かって頷いた。

 
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