夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
59 / 802
願い石の導き

しおりを挟む
「だけど、それが解除の石か願いの石かはどうやったらわかるんだ?」

 「そりゃあ、願い事を言ってみればすぐにわかるじゃないか。」

 「そうか…あ、でも、たとえば、遠い所に住んでる家族の病気が治るように…ってな願いだったらどうだ?
そういう場合だったら叶ったかどうかわからないじゃないか。」

 「それがそうじゃないんだ。
 願いが叶えられれば、願い石は粉々に壊れるんだから。」

 「粉々に…!?」

フレイザーとエリオットは、声を揃え、顔を見合わせた。



 「あ…あのさ、ラスター。
 願い石って、見た目はどんな感じなの?」

 「俺も実物を見たことはないからよくわからないが…
なんでも透き通ってて石というよりは硝子みたいなもんらしいぜ。」

その返答にフレイザーとエリオットは、放心したように立ち尽す。



 「……二人共…どうかしたのか?」

 「え…?あぁ、いや、なんでもないんだ。
ラスター、まさかその願い石はいろんな色があるなんてことは…ないよな?」

 「もしかして、石のこと、思い出したのか?
その通りだ。
 大陸毎に願い石の色が違うって話だ。」

 「そんな…!!」

フレイザーとエリオットの顔からは血の気がひいていた。
それは明らかにその場にはそぐわない変化だった。



 「フレイザー、エリオット、どうかしたのか?
 今の話の一体何がそんなに君達を動揺させたんだ?」

 「……いや、その…よくわからないけど…」

フレイザーの答えは歯切れの悪いものだった。
エリオットは口を開こうともしない。



 「何か、思い出したのか?」

 「そうじゃない…なんでもないんだ…なんでも…」

そう答えるフレイザーの表情は暗く沈んだものだった。



 「だが、君達の態度は…」

 「ねぇ、ダルシャ、そんなことより大切なのはこれから獣人の村に行くかどうかだよ。
ねぇ、セリナはどうしたら良いと思う?
ラスターの意見はどう?
ここまで来て引き返すなんて、もったいないよ。
なにか良い方法はないかな?」

 今まで黙っていたエリオットがフレイザーに助け舟を出す。



 「……そうだ…!
 良いことを思いついたぞ!」

ラスターが深く頷きながら手を叩いた。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

ブレイブエイト〜異世界八犬伝伝説〜

蒼月丸
ファンタジー
異世界ハルヴァス。そこは平和なファンタジー世界だったが、新たな魔王であるタマズサが出現した事で大混乱に陥ってしまう。 魔王討伐に赴いた勇者一行も、タマズサによって壊滅してしまい、行方不明一名、死者二名、捕虜二名という結果に。このままだとハルヴァスが滅びるのも時間の問題だ。 それから数日後、地球にある後楽園ホールではプロレス大会が開かれていたが、ここにも魔王軍が攻め込んできて多くの客が殺されてしまう事態が起きた。 当然大会は中止。客の生き残りである東零夜は魔王軍に怒りを顕にし、憧れのレスラーである藍原倫子、彼女のパートナーの有原日和と共に、魔王軍がいるハルヴァスへと向かう事を決断したのだった。 八犬士達の意志を継ぐ選ばれし八人が、魔王タマズサとの戦いに挑む! 地球とハルヴァス、二つの世界を行き来するファンタジー作品、開幕! Nolaノベル、PageMeku、ネオページ、なろうにも連載しています!

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

愛人がいらっしゃるようですし、私は故郷へ帰ります。

hana
恋愛
結婚三年目。 庭の木の下では、旦那と愛人が逢瀬を繰り広げていた。 私は二階の窓からそれを眺め、愛が冷めていくのを感じていた……

転生弁護士のクエスト同行記 ~冒険者用の契約書を作ることにしたらクエストの成功率が爆上がりしました~

昼から山猫
ファンタジー
異世界に降り立った元日本の弁護士が、冒険者ギルドの依頼で「クエスト契約書」を作成することに。出発前に役割分担を明文化し、報酬の配分や責任範囲を細かく決めると、パーティ同士の内輪揉めは激減し、クエスト成功率が劇的に上がる。そんな噂が広がり、冒険者は誰もが法律事務所に相談してから旅立つように。魔王討伐の最強パーティにも声をかけられ、彼の“契約書”は世界の運命を左右する重要要素となっていく。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

魔力無し判定の令嬢は冒険者を目指します!

まるねこ
恋愛
「マーロア様には魔力がございません」 神官のその言葉に父は絶句し、母は泣き崩れた。 私は魔力を持つ貴族社会では生きづらいだろうと領地の端にある村へと送られ、生活することになった。 村で先生と出会い、冒険者になるという夢を持って王都に戻り、学院に入学し、騎士科で過ごす。幼馴染のファルスと共に先輩や王族との出会いを通じてマーロアの世界は広がっていった。 魔獣を倒すので人によってはグロと感じるかもしれません。 《11月29日より開始のカクヨムコン10に応募しています。★のご協力頂ければ嬉しいです。》 Copyright©︎2022-まるねこ

処理中です...