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平日はいつもすれ違いだから、恭子さんからのレッスン着と靴は、部屋の前に置いておいた。



たっくんには、何も言わないことにした。
やっぱり、恭子さんの言うことが正しい。
私ごときが何とか出来る問題じゃない。
あと少し…
たっくんには、夢を見てもらおう。
叶うことのない夢を。



これで良かったのかもしれない。
私はたっくんと結婚出来るんだから。
これからも、一緒にいられるんだから。



お母さん達にも話さなきゃ。
あ、結婚式はどうしよう。
貯金はなるべく遣いたくないけど、仕方ないね。
たっくんは地味婚はいやかな?
あ、たっくんのご両親にもご挨拶に行かないと。



そんなことを考えてみても、なぜだか気持ちが盛り上がらない。
おかしいなぁ。
なんでだろう??
私の夢が叶うのに。



(皮肉なもんだな…)



たっくんの夢が壊れたら、私の夢が叶うなんてね。
これだったら、たっくんの夢が叶って、私の夢が壊れた方がまだマシだったね。



あぁ、そうか…
いつの間にか、私はアイドルのたっくんのファンじゃなく、一人の男性として、たっくんのことを愛するようになってたんだね。
たっくんと一緒に住むようになって、たっくんの外見じゃなく、中身に惹かれるようになったからね。



優しくて、真面目で努力家で…
あれ、あれ、おかしいな、なんだか涙が出て来たよ。
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