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そうは思うのだけど、そのことを言い難い。
たっくんのプライドを傷付けそうだから。



「もう少しだけ待ってくれないかな?」

もうだいぶ待ったんだけどな…



「……いつまで?」

「年末まで。」

「え?」

まぁ、長いといえば長いけど、どうして?



「年末までやって駄目だったら…俺、やめるつもりなんだ。」

「え!?やめるって…
ミュージカル俳優を諦めるってこと?」

たっくんは、ゆっくりと頷いた。



「えぇっ!」

私は思わず声をあげてしまった。
だって、たっくん、ホームレスになってまで頑張ってたのに、だめなの?
そりゃあまぁ、たっくんが芸能界に復帰したら心配は心配だよ。
でも、たっくんが頑張ってたことも知ってるから、諦めるなんて言われたら、びっくりするよ。



「最初から決めてたんだ。
年内に決まらなかったら、もうやめようって。
っていうか…それこそが未練だよな。
これだけ長い間頑張っても、オーディションも全く受からない。
俺がミュージカル俳優だなんて、多分、無理なことだったんだ。
そんなことは端からわかってた。
わかってたのに、俺は…」

たっくんは苦しそうな顔をして頷いた。
それは今までに見たことのない表情で…
何か言葉をかけたいのだけど、あまりに辛そうだから、なんと言えば良いのかわからなくて…
焦る気持ちを押さえながら、
ただ、たっくんをみつめることしか出来なかった。
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