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「うらやましいわ…あなたは幸せだったのね…
私にはそんなに長い間可愛がってくれた人はいなかったわ…」
「…そうか…ルネは辛い想いをしてたんだね…」
「ルネも辛かったと思うけど、君達の最初の持ち主は辛い人生だったんだね…
お互いに愛してはいけない人を愛してしまったんだね…」
「愛してはいけない?どうしてですか?
愛するっていうのは良いことなんじゃないですか?」
「ビセンテ…人間にはたくさんのルールがあるのよ。
愛することは良いことだけど、愛してはいけない人っていうのもいっぱいあるみたいだし、他の人の愛する人を取ってもいけないのよ…」
「どうして?
皆で仲良くすれば良いじゃないか。」
ビセンテは、無邪気に質問した。
「…それが、そう簡単にいかない所が人間なのよ…」
「…そう…僕は人形だから、そんな難しいことわからないよ。」
「私も今まではわからなかったわ…」
「僕には今でもわからないよ…この先もずっとね…」
ビセンテは、ルネに背中を向けた。
「……ビセンテ、どうしたの?」
「せっかく会えたけど、君はもう昔のルネじゃない…
君はどうせ僕のことなんてただの人形としか思ってないんだろう?
そうさ、僕はただの人形…いろんなことを知っている君とは違う。」
「ひどいわ、ビセンテ!
やっと会えたのに…
これからはやっと一緒に暮らしていけるって、私、どんなに嬉しかったことかわかる?」
「もう駄目だよ…
昨日も君はいろんなことを話してくれたけど、僕にはわからないことがいっぱいだった。
どんなに聞いても僕にはよくわからないんだ…
だって、僕はただの人形だから…
君は人間に近付きすぎた…もう元には戻れないんだ…」
「…そんな…ビセンテ…
私…どうすれば良いのよ…」
ルネは、ビセンテにすがるような瞳を向けた。
「…なら…君も人間を体験してみれば良いじゃないか…」
「えっっ?!」
「ルネが元の人形の心に戻れないのなら、君が僕の身体を使って人間を体験してみれば良いんだよ。
そうすれば、人間のことももっとよくわかるし、ルネの気持ちもわかるようになるんじゃないかい?」
「カミーユ、何を言ってるの?
私はほんの数日のつもりが、こんなにも長い間クロエに身体を返さなかったのよ!
ビセンテもそうなったらどうするの?!」
「僕は君達を信じてるから…」
「だめよ!人間の身体を借りたら、自分でもよくわからないことをしてしまうことがあるの…
だから、そんなことはやめて!」
「ルネ、僕なら大丈夫だよ。
僕はそんな風にはならない。
ほんのしばらく体験出来たらそれで良いんだ…
人間は僕には難しすぎるから、ずっとやっていく自信もないよ。
ルネの知ってる何分の1かを体験出来たらそれで満足なんだ…」
「そうさ、ビセンテなら大丈夫だ。
それに…いざとなったら君が止めてくれるだろう?」
「…それはもちろんそうするわ、だけど…」
私にはそんなに長い間可愛がってくれた人はいなかったわ…」
「…そうか…ルネは辛い想いをしてたんだね…」
「ルネも辛かったと思うけど、君達の最初の持ち主は辛い人生だったんだね…
お互いに愛してはいけない人を愛してしまったんだね…」
「愛してはいけない?どうしてですか?
愛するっていうのは良いことなんじゃないですか?」
「ビセンテ…人間にはたくさんのルールがあるのよ。
愛することは良いことだけど、愛してはいけない人っていうのもいっぱいあるみたいだし、他の人の愛する人を取ってもいけないのよ…」
「どうして?
皆で仲良くすれば良いじゃないか。」
ビセンテは、無邪気に質問した。
「…それが、そう簡単にいかない所が人間なのよ…」
「…そう…僕は人形だから、そんな難しいことわからないよ。」
「私も今まではわからなかったわ…」
「僕には今でもわからないよ…この先もずっとね…」
ビセンテは、ルネに背中を向けた。
「……ビセンテ、どうしたの?」
「せっかく会えたけど、君はもう昔のルネじゃない…
君はどうせ僕のことなんてただの人形としか思ってないんだろう?
そうさ、僕はただの人形…いろんなことを知っている君とは違う。」
「ひどいわ、ビセンテ!
やっと会えたのに…
これからはやっと一緒に暮らしていけるって、私、どんなに嬉しかったことかわかる?」
「もう駄目だよ…
昨日も君はいろんなことを話してくれたけど、僕にはわからないことがいっぱいだった。
どんなに聞いても僕にはよくわからないんだ…
だって、僕はただの人形だから…
君は人間に近付きすぎた…もう元には戻れないんだ…」
「…そんな…ビセンテ…
私…どうすれば良いのよ…」
ルネは、ビセンテにすがるような瞳を向けた。
「…なら…君も人間を体験してみれば良いじゃないか…」
「えっっ?!」
「ルネが元の人形の心に戻れないのなら、君が僕の身体を使って人間を体験してみれば良いんだよ。
そうすれば、人間のことももっとよくわかるし、ルネの気持ちもわかるようになるんじゃないかい?」
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「僕は君達を信じてるから…」
「だめよ!人間の身体を借りたら、自分でもよくわからないことをしてしまうことがあるの…
だから、そんなことはやめて!」
「ルネ、僕なら大丈夫だよ。
僕はそんな風にはならない。
ほんのしばらく体験出来たらそれで良いんだ…
人間は僕には難しすぎるから、ずっとやっていく自信もないよ。
ルネの知ってる何分の1かを体験出来たらそれで満足なんだ…」
「そうさ、ビセンテなら大丈夫だ。
それに…いざとなったら君が止めてくれるだろう?」
「…それはもちろんそうするわ、だけど…」
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