お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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068 : 夕陽の丘

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まさか、老人になっているリュックが視えたというのか?
だとしたら、なぜ、そんな風に視えるのかもわかっているのだろうか?
カトリーヌのことを言い当てた時は、いかにもカトリーヌのことが見えているような言い方だった。
ということは、やはり、視覚的に見えるということか。
では、リュックの場合は、どうなのだろう?
年老いた彼の姿が見えたのか?
小人の姿も見えたのだろうか?



(あぁ、駄目だ。)



特別な能力を持つ者のことはよくわからない。
それも当然のことだ。
私には特殊な能力等ないのだから。



「マルタン…どうかしたのか?」

「あ、あぁ…ロアンヌは、どんな風に千里眼の能力を使ってるのかって思ってな。」

「なるほど。
確かに、わからないな。」

リュックは小首を傾げた。
その時、私は不意に思い出した。
リュックにも特別な力があることを。



「君はどうなんだ?
今まで何度も不思議なことがあっただろ?」

「俺は夢で見たり、頭の中に浮かんで来るだけだ。」

「映像として現れるのか?」

「そうだな。声が聞こえることもあるが、聞き取れない場合もある。」

ロアンヌの千里眼も、もしかしたら、それに似たようなものではないかと感じた。



「とにかく、世の中には不思議な者がいるってことだよな。
今回もぜひ当たっててほしい。
カトリーヌと親父さんを会わせてやりたいんだ。」

「きっと会えるさ。」

いつの間にか、辺りは赤く染まっていた。



「綺麗な夕焼けだな。」

「あぁ……」

あと数日のうちに、ロアンヌの千里眼が当たっていたかどうかがわかる。



「お客さん、夕飯の支度が出来たよ。」

扉の影から、宿屋の店主が声をかけた。
今日の客は、どうやら私とリュックだけのようだ。



「ありがとう、今行くよ。」



焦ることは無い。
もう数日すれば、わかることなのだから。
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