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066 : 明日をつかまえに
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「そうなんですか。なんだか興奮して来ました。
もしかしたら、本当に父さんに会えるんじゃないかって。」
「あぁ、会えるさ!
きっと、婆さんの千里眼は当たってると思うぜ。」
「本当にありがとうございます。
私はお酒もあまり飲めませんし、私が行ったんじゃ、そこまで教えて貰えたかどうかわかりませんよね。
本当にお二人のおかげです。」
カトリーヌは、感極まったのか、その瞳がゆらゆらと揺れていた。
「ところで、親父さんとはいくつくらいの時に別れたんだ?」
「確か、私が5つくらいの時だったと思います。」
「5つか…じゃあ、記憶はあんまりないんじゃないか?」
「そうですね。顔はぼんやりとしか覚えてません。
声も忘れてしまいました。
でも、しっかりと覚えてることもあるんですよ。」
カトリーヌは、溢れた涙を拭い、小さく微笑んだ。
「へぇ、どんなことなんだ?」
「たいしたことじゃないんですが…町に私の誕生日プレゼントを買いに行くことが決まって…
私は毎日毎日、買い物にはまだ行かないの?と父に訊ねました。
父もうんざりしたと思いますが、それでも毎回優しく諭してくれました。
そして、ついに明日となった時、待ちきれなくなった私は、明日を探しに行く!とひとりで家を飛び出したんです。
すぐに、父が私を探しに来てくれて、よし!二人で明日を捕まえよう!って言ってくれて…
暗くなるまで私達はそこらを歩き回り、私は疲れ果てて眠ってしまいました。
でも、その時、父と過ごした時間がとても楽しくて…
二人で手を繋いで、歌を歌ったり、木に登ったりして…」
カトリーヌは、懐かしいあの日を思い出しているのか、遠い目をして、浸っていた。
きっと、カトリーヌにとって、とても大切な記憶なのだろう。
「優しい親父さんだったんだな。
明日、出発して、あんたの親父さんを必ずみつけてくるからな。」
「えっ!そんなことまで?
私の体が治ったら、自分で行きますよ。」
「乗りかかった舟だ。俺達にやらせてくれよ。」
カトリーヌは遠慮していたが、リュックがどうにか説き伏せた。
クロワももちろん異議は唱えない。
私達は、予定通り、明日、出発することに決めた。
もしかしたら、本当に父さんに会えるんじゃないかって。」
「あぁ、会えるさ!
きっと、婆さんの千里眼は当たってると思うぜ。」
「本当にありがとうございます。
私はお酒もあまり飲めませんし、私が行ったんじゃ、そこまで教えて貰えたかどうかわかりませんよね。
本当にお二人のおかげです。」
カトリーヌは、感極まったのか、その瞳がゆらゆらと揺れていた。
「ところで、親父さんとはいくつくらいの時に別れたんだ?」
「確か、私が5つくらいの時だったと思います。」
「5つか…じゃあ、記憶はあんまりないんじゃないか?」
「そうですね。顔はぼんやりとしか覚えてません。
声も忘れてしまいました。
でも、しっかりと覚えてることもあるんですよ。」
カトリーヌは、溢れた涙を拭い、小さく微笑んだ。
「へぇ、どんなことなんだ?」
「たいしたことじゃないんですが…町に私の誕生日プレゼントを買いに行くことが決まって…
私は毎日毎日、買い物にはまだ行かないの?と父に訊ねました。
父もうんざりしたと思いますが、それでも毎回優しく諭してくれました。
そして、ついに明日となった時、待ちきれなくなった私は、明日を探しに行く!とひとりで家を飛び出したんです。
すぐに、父が私を探しに来てくれて、よし!二人で明日を捕まえよう!って言ってくれて…
暗くなるまで私達はそこらを歩き回り、私は疲れ果てて眠ってしまいました。
でも、その時、父と過ごした時間がとても楽しくて…
二人で手を繋いで、歌を歌ったり、木に登ったりして…」
カトリーヌは、懐かしいあの日を思い出しているのか、遠い目をして、浸っていた。
きっと、カトリーヌにとって、とても大切な記憶なのだろう。
「優しい親父さんだったんだな。
明日、出発して、あんたの親父さんを必ずみつけてくるからな。」
「えっ!そんなことまで?
私の体が治ったら、自分で行きますよ。」
「乗りかかった舟だ。俺達にやらせてくれよ。」
カトリーヌは遠慮していたが、リュックがどうにか説き伏せた。
クロワももちろん異議は唱えない。
私達は、予定通り、明日、出発することに決めた。
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